2月13日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】二〇〇六年発足予定の米州自由貿易圏(FTAA)構想で、米政府が工業製品の六五%と農産物の五六%に関税を廃止する米案を提示してきたと外務省は十一日、発表した。
自由貿易を歪める農産物の補助金制度については、カタールのドーハ世界貿易機関(WTO)会議で、ゼーリック米通商代表(USTR)と検討合意であったに関わらず米案には一切触れていないので、ブラジルを無視したとみられる。
米案がカリブ海域、中米、アンデス共同体、メルコスール共同体の四地域に分類して、米製品にとって競争力の少ない地域から優先する差別開放になっていると、バルボーザ駐米大使は述べた。ブラジルを含むメルコスールには、最も不公平な市場開放といえそうだ。
米国が得意とする分野は、即時開放。工業製品は、種目別に最高十年間で完全開放としている。ブラジルを初めとするメルコスール加盟国が得意とする農産物は、四段階に分けて開放し最終段階は期間不明瞭だ。
米案は、ブラジルを孤立化する策略を秘めていると関係者は分析している。これは途上国の芽を摘もうとする先進国による暗黙の協定で、G8がこの線で共同歩調をとるとみている。米政府は、ひざ元のカリブ海域と中米に良い香りのするバラの花びらを与え、南米には刺の生えた枝の部分を与える考えらしい。