2月12日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】ルーラ大統領は十日、第二回閣議を開き対GDP(国内総生産)比四・二五%の財政黒字を捻出するために、今年度予算から社会部門を除き百四十一億レアルの予算削減を行うと発表した。その半分以上に当たる八十九億レアルは、前政権の誤算による人件費と社会保障院引当金の過小見積もりと残部は財政黒字の捻出と述べた。同席上、さらに十四項目の一括政策をも発表した。
大統領は四十日間の政権経過発表を行い、特に過激派の攻撃で矢面に立たされている財務相の健闘を讃えた。また選挙公約であった奴隷的使役が行われている農場の摘発で、前政権の倍以上の成果が上がっていることなどを発表した。
対外債務の償還能力への信頼向上のため、財政黒字目標をGDP比三・七五%から四・二五%へ引き上げたことで、政府は六百八十億レアルの黒字確保が必要と見られる。予算の下方修正とともに、同席で十四項目の一括政策を、公約済みのものも含めて発表した。
内容は次の通りであった。(一)東北伯開発庁の再設。(二)人種差別改善のために三月二十一日、人種庁を設置。(三))ミナス・ジェライス、パラナ、サンタ・カタリナ、南大河州など四州に三千人の教授と三万五千人の大学生の定員を増加。(四)法務省の青少年売春の取り締まり。(五)通信省は四千都市に四千二百台のコンピュータを設置。十分間のインターネット接続の無料提供。(六)大学卒への奨学金(CNPq)を四千件増加。(七)牛乳生産者百万人と低価額ミルクの供給契約。(八)一千六百七十二キロメートルの送電線設置入札。(九)組合のPIS(社会統合基金)を一・六五%から〇・六五%に減税、二百万零細企業への低利融資。(十)国債の個人への直接販売。(十一)トウモロコシやコウリャンへの農業融資と二毛作奨励。(十二)二十万三千ヘクタールの農地改革と五千五百家族の入植。(十三)道路警察の一〇%増員。(十四)先住民居住区六カ所の払い下げ補償など。
閣議は異例の九時間という超強行軍であったが、通例の労働組合や学生団体の抗議運動はなかった。予算削減に対する議会の反応は野党が好感したが、与党議員らは政府の密室政治と評価し、議会工作に苦労すると不快感を表明している。