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誘拐犯罪の首領格逮捕=手下38人指揮し犯行=155日間監禁の実業家解放

2月12日(水)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】大手精肉業者の一つ、ベルチン精肉店チェーン社長のジョアン・ベルチン氏(八二)が十日、百五十五日にわたる人質生活から無事解放された。誘拐期間では二番目の長さで、同氏を誘拐した犯罪組織のリーダーが逮捕され、事件解決に至った。
 昨年九月八日早朝、ベルチン氏がサンパウロ州サビーノ市の農園に乗用車を運転して到着した時、五人の男が車で農園に現れ、同氏と従業員七人を取り押さえた。同氏は抵抗したが、頭部を殴られ気絶。従業員らは全員縄で縛られ、誘拐犯は同氏を誘拐、逃走した。
 その後、「身代金三百万ドルを払え。三十日以内に支払わなければ、五百万ドルに値上がりだ」と誘拐犯のメモ用紙が届いた。三十日後、誘拐犯らは家族初めてコンタクトを取った。家族は「この金額は払えない」と哀願した。
 四十五日後、誘拐犯らはベルチン氏が生きている証拠として、同氏が新聞を読む映像が現れるビデオテープを家族に送った。今年一月に入ると誘拐犯らのコンタクトも頻繁になり、身代金額は八十万ドルまで下がった。
 その間警察は、誘拐組織の首領格の名前を捜査していた。電話盗聴やサンパウロ州内刑務所での捜査で「チオ」という人物が浮上。本名ペドロ・シエシャノヴィッツ容疑者(四八)であることが分かった。
 サンパウロ州警察官四人はパラナ州クリチーバ市のチオ自宅を見張っていた。二月九日午後八時ごろ、チオが帰宅。午後十時ごろ、警察が同家の庭に突入し、交渉が始まった。十日午前三時三十分、弁護士の到着でチオは、サンパウロ州クアター市の隠れ家にいたベルチン氏の解放を携帯電話で仲間に命令。午前四時ごろ投降した。
 逮捕された誘拐犯チオの捜査は、二〇〇一年の学生誘拐殺害事件から始まった。同年起きたロージャス・センのロベルト・ベニット・ジュニオル社長誘拐事件や九八年のG・アロンソン店社長誘拐事件、九四年の銀行経営者ナッセル氏誘拐事件、製紙業者リパザ社社長誘拐事件にも関わったとされる。チオは三十八人の誘拐組織の頭領だとされ、犯罪組織PCC(首都第一コマンド)と関係があるとみられている。