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コラム 樹海

 今年は徳川家康が征夷大将軍に任じられて江戸幕府が開かれてから四百年になるが、出雲御国が京都でかぶき踊りを演じてからも四百年になり歌舞伎の役者さんたちも頑張っている。東京でも幕府を設立して二百六十五年に及ぶ武家政権を確立した偉業を讃える盛り沢山の行事が計画されているらしい。そう言えば昨年は五代将軍・綱吉公の時にあった赤穂浪士の討ち入りがあってから三百年だった▼綱吉公には天下の悪法とされる「生類憐れみの令」もあるけれども、江戸という時代は大きく捕らえれば長閑で平和な歴史が続く。京都や大阪で花開いた歌舞伎も江戸で栄え当時の梨園は今に続く。士農工商の身分制度がきちんとしていて農業の人々は蔑まれていたの教えもあるようだけれども、農家はきちんと暮らしていたの説が近ごろは有力になってきた。数学の天才・関孝和など幾多の文人墨客を輩出したりもする▼世界の印象派に決定的な影響を与えた浮世絵が生まれたのも江戸時代。歌舞伎役者の絵で知られる東洲齊写楽は未だに謎の多い人物ながら、この人もそんな浮世絵師の一人。近松や西鶴をはじめ芭蕉などの文人と学者も多彩を極める。こんな中にあって忘れていけないのは寺子屋であろう▼幕末には全国で約一万もあったの研究もあるのだが、これが明治維新と共に始まる義務教育の普及に繋がったのである。学問を尊ぶ気風もだし、今、我々が持つ生活上の習慣も江戸の頃に定着したものが多くもっと「江戸」に目を向けたい。    (遯)

03/02/11