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フィリピンで養蚕指導するオイスカ=ブラジルの実状視察=「成功例見た」と感想=ブラトク製糸も協力惜しまず

2月8日(土)

フィリピン、ネグロス島にあるオイスカ・バゴ研修センターの渡辺重美所長、オイスカ・インターナショナル海外グループの萬代保男部長、全国蚕種協会の宮澤津多登相談役の三人が一月二十八日に来伯し、ブラタク製糸株式会社の工場などを視察した。六日には、谷口滋ブラタク製糸副社長と共に本社を訪れ、「ブラジルで養蚕の成功例を見た」と今回の滞在を振り返った。
ネグロス島はフィリピンの砂糖産業の中心。一九八〇年代に砂糖の国際価格が暴落し、多くのサトウキビ園労働者が職を失った。政情不安定もあって貧困が広がり、「飢餓の島」と呼ばれるに至った。
オイスカ・バゴ研修センターは一九八一年に設立された。現在の主な活動は、サトウキビという単一作物への依存から抜け出すために、農家へと養蚕を普及することである。養蚕には気温、湿度、病気などについてのきめ細かい世話が必要で、オイスカを通して日本で研修を受けたOBや日本人技術員が、その技術を教えている。
一方、今回の視察を受け入れたブラタク製糸は六十三年の歴史を持ち、全ての工程を自社で行っている希有な企業。現在は年間六千四百トンの生繭を生産する。
一行はバウルー、ドゥアルチーナ、バストス、ロンドリーナなどで工場や農家の様子を見学した。「設備がすばらしいし、品質の良い生糸を作ろうという意気込みを感じた」と渡辺所長は感想を話す。養蚕に五十年の経験を持つ宮澤相談役も「ブラジルの成功例を見させてもらって、有意義だった」と振り返る。
 現在、ネグロスの年間生産量は生繭で七十トン。これを二〇〇七年ごろまでには三百トンにまで引き上げたい考えだ。ブラタク製糸の谷口副社長によると、この状況は同社の創業当時の状況に似ている。「ブラタクは戦後に大変な苦労をした。その経験のうち、良い所を持って行ってもらいたい。(フィリピンの養蚕普及のために)できることはやりますよ」と協力的だ。
バゴ研修センターには、日本から学生、ボランティアも数多く訪れる。渡辺所長は「これからは日本から来る人にブラジルも薦めようと思います」と語っていた。