違法海外送金に〃特赦令〃か=国内への還流促し=300億ドルが外国で〃徘徊〃=経済活性化策で期待
2月1日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十一日】国税庁は三十日、海外へ不正送金し隠匿している海外資産約三百億ドルを違法資金も含めて国内への送金特赦令を検討中であることを明らかにした。現行令では、海外で取得した資金の国内送金は二七・五%までの課税対象となるが、僅か五%の送金税で日の目を見、国庫のためにも便益だとしている。PT執行部は、同令が脱税を奨励する可能性があることで、党外協力者の批判などを考慮し検討している。
政府は、所得税や法人税の申告書に記載されていない公金横領や麻薬密売などの違法資金も含めた海外隠蔽資金の国内還流に便宜を図ることを検討している。別名通行料という五%から六%の送金税を支払うだけで、汚い資金も洗浄され国内で合法化資金として流通可能になるというもの。
国税庁の計算では、世界中のタックス・ヘブンを徘徊しているブラジル関係の資金は三百億ドルとみられ、その二〇%に当たる六十億ドルは国内へ還流する可能性があると見ている。
同資金は、一定期限つきの投資を義務付けられるようだ。昨年ブラジルの金融市場を襲った政治不安と為替危機も解消したことで、現行の二七・五%の送金税を払っても国内投資を望んでいる投資家も少なくないと国税庁は予測する。
海外ではイタリアが昨年、同特赦を実施して四百億ドルを自国に戻し効果を上げている。メキシコは五年前に実施、五百億ドルも国庫を潤した。最近ではドイツが発令した。
財務省関係者は、同令が執行されるとレアル通貨がドル通貨を追い抜いて急上昇し、ドル下落で公共債務は減少、歳入も増加すると歓迎している。五、六%の送金税は僅少だが、国内経済へのインパクトは大きく国内産業発展に拍車がかかり税収の急増が期待できると観測している。
最大の心掛かりは〃正直者は馬鹿を見る〃という印象を一般社会に植え付けること。同特赦令が執行されると、積極的に脱税して不正資金を捻出し海外へ不正送金を行い、僅少の税金を払えば大手を振って帰国できるという〃有り難い〃法律となる。