あの大東亜戦争が終結してから今年で五十八年を迎えようとしてる。東西冷戦の冷たい戦いにも幕が降りたしアジアやアフリカの植民地解放運動も大きな成果を挙げたけれども、日本にとっての「戦争」は今も厳然として続いている。国後、歯舞、色丹、択捉の北方四島は旧ソ連から引き継いでロシアが実効的に支配しているし韓国との間には竹島がある。中国と台湾とは尖閣列島の領有問題がある▼中韓や台湾との島嶼を巡る領土争いはあの戦争とは直接的には無関係ながら、敗戦による日本の軍備力の弱さが大いに影響していると見て間違いない。これらの領土問題は一応置くとしても、今も理解不能なのは旧ソ連による満州などにいた日本軍兵士の抑留であり、日本人婦女子などに対する不埒な暴虐である。スターリンの指令で抑留され強制労働を命じられらたのだが、国際法にも何にも、これを正当化する法令はない▼旧ソ連には抑留者の正確な数字があるはずだが、現在も公表されていないようだし、日本の政府も約五十七万五千人としている。このうち死者総数は約五万五千人。だが、これらの数字もかなり怪しいらしい。日露関係者によると、抑留されたのは「ざっと六十万人だが、依然未解明」とし死者は「最低でも八万二千人」と指摘する(本紙二十三日付け)。ともかく詳しいことはまったく不明なのである。そしておかしいのは旧ソ連もロシアも国家としての正式な謝罪もしていない。北方領土もながら、この抑留問題がきちんとしない限り日本の戦争は続く。(遯)
03/01/30