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新政権の農地改革を批判=農地改革院前総裁 「我々の努力水泡」=意欲と技術の必要性訴える

1月28日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】新政権が経済発展の柱のひとつに掲げる農地改革による小農生産者の所得増加と雇用創出計画の成功は、きわめて疑問視されると農地改革院のシッコ・グラジアノ前総裁が二十四日、警告した。
 前政権時、二年間に百三十億レアルを投じて五十万世帯を入植させたが、現政権では入植者に対する長期計画がないことで前政権の努力が水泡化しつつあると訴えている。農地の再分配よりも農地改革の法整備が急務だとしている。
 土地と資金を与えても入植者に生産意欲と生産技術がないなら、新政権が計画していることは単なる夢物語になると憂慮。長期計画としてオランブラの花卉栽培や東北伯の山羊飼育を好例にあげ、意欲ある生産者に推薦している。
 前総裁は、もはやブラジルには土地を持たない農業生産者は存在しないと語る。存在するのは資金も技術もない小農希望者か、農業で生計を立てようかと考えている失業者らだという。
 農業の近代化は多くの日雇い農村労働者を失業させ生活のすべを奪ったが、政府の考え方や対策も再検討すべきだと前総裁は提案している。営農資金の有無が農業企業家と小農を隔離し、農業の大規模化が土地未所有者の悲惨さを生み出したかのような錯覚を与えていると見解を述べた。
 新政権は農地の提供よりも、計画的農業生産の指導を優先すべきだと前総裁は主張。その計画不在なら小農の所得増大も生産拡大もないし、国家経済の厄介者になる。意欲も技術もない小農救済を行うより子弟を教育して、農業以外の職業に就かせるのが賢明だと助言している。