1月17日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十二月二十九日】サンパウロ州とミナス・ジェライス州の州境を通るグランデ川の水面に、いくつかのバラック船が浮かぶ。さながら小さな街のようだ。〃街〃から、トラックの列が出すような音が聞こえる―。この住宅群、実は不法な宝石採掘所。暮らしを楽にさせるダイアモンドを採掘せんと、多くの採掘業者らが夢を託し、日夜川を掘り起こしている。
採掘業者は、サンパウロ州北部コロンビア市、グアラシー市、バレットス市、ミナス州南部フルタル市から来た。始めは三十人ほどだったが、いまでは四百人に及ぶ。
採掘業者五人のグループが、川の砂とダイアモンドを引き上げる機械が設置された船に乗る。日中と夜間はメンバーを入れ替える。場所によっては八十隻もの採掘船があり、二十四時間体制で川底を引き上げる音で鼓膜が破れそうになる。
この小さな〃街〃のそばにある農村の住民は、採掘船を百三十隻も数えたことがあるという。国立自然環境保護院(Ibama)と環境保護警察は、この数を確認した。
バレットス市環境保護警察のアウシーデス・J・トニン少尉は、「このままでは、セーラ・ペラーダ(ブラジル最大の金採掘地)の二の舞になってしまう」と危機感を表明した。
この地域でダイアモンドが発見されたことで、全国から冒険者が次々をやってくる。昨年十一月末には、わずか一個の原石で七十万レアルを儲けた人もいた。だがそれはわずか一部の話で、採掘業者のほとんどが小さな、百レアルから六百レアルまでの価値の低い石しか見つけられない。
採掘業者全員が不法に採掘活動を続けている。Ibamaと警察は、石を商業目的で採掘する許可証を持っている者は一人もいないと保証する。
ミナス州フルタル市ジョアン・D・ブラーガ被告とヴィセンテ・P・コウト被告は、採掘現場の責任者とされる。二人は現場を調査する許可を得たが、その場所からダイアモンドを採掘して販売する許可は得ていない。すでに三回罰金措置を受けており、総額一千六百万レアルに達している。
高額の罰金措置でも、不法採掘業者らは一向に恐れないらしい。Ibama側は、罰金を科しても、ブラジリアの権力者たちが代わりに払って、採掘作業を続けさせるのではないか、とまで心配している。
採掘業者の〃規則〃では、掘り出した原石の売上金は、三八%が採掘業者自身に渡り、残りは前記の二人の手元に残るという。ブラーガ被告は、「自分は石の採掘、販売許可を得た」と主張しているが、警察もIbamaも否定している。コウト被告は、「石を採掘して売ったことはあるが、もう活動を止めた」と述べている。