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「不可解な社会保障制度改革」=最高裁長官が言明=ドロ縄的政策に批判も=PT政権には試練の時

1月16日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】新政権が公約する社会保障制度改革に寄せて最高裁のマルコ・A・メーロ長官は十四日、「社会保障制度の改革原案は扇動とは言わないが、革命でもないかぎり不可能」と言明した。連邦令によって付与された権利を剥奪し、既成の政体改革のため総力を結集するようなことが民主国家では許されないと、長官は法曹界を代弁して軍人と同じ特例を擁護する発言をした。PT政権の真骨頂を試されるときが、いよいよ来たと言えそうだ。

 連邦令六十条に、憲法によって保証された権利を損なういかなる補足令も容認されないと指摘し、最高裁長官がこれは連邦令の大黒柱だとしている。
 長官は、法務関係者も特権階級ではなく一般市民と同じであるという。一九七八年に最高裁判事に就任して以来、十二年間勤め現在は一万九千レアルの月給と長官特別手当として一千七百五十レアルを受領している。この中からINSSへ一一%の一千九百レアル、その他色々差し引かれ手取り額は一万三千レアルになるという。
 長官の見方によれば、公務員志望とは民間行きの船を焼き払い、公務員として将来に夢を託し全力投球をしてきたので、帰り船がないということらしい。
 ブラジルの悪い習慣は、政治政策が後手だと長官は指摘した。やがて暗礁に乗り上げることが明白でありながら、何ら手を打たないという。政治家が所詮無理な法令を制定して、朝令暮改を繰り返すことは承服できないと長官は訴えた。
 「法は市民の基本的人権を守る最後の防波堤」であり、法務関係者はその番人だと長官はみている。法務関係者が特典や特権に預かっているという考え方は、語弊があるとしている。
 いっぽうルーラ大統領が軍人の特殊性を認め統一社会保障制度から外すとしたことで、法務関係者も軍人に便乗しようとしているという見方もあるようだ。国家公務員の中で、軍人だけが特別視されることに不満の声が法曹界で挙がっているという。

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