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武本さん石碑完成=コロニア文芸のけん引者

1月16日(木)

 コロニア文芸のけん引者だった武本由夫さんの没後二十年を記念して、リベルダーデ区アウメイダ・ジュニオル広場に、このたび武本さんの歌を刻んだ石碑が完成。八月から寄付活動など、建立に向けて奔走してきた関係者は、「日本人街でも人目につく場所に設置出来、満足している。自然岩を生かした碑も魅力的」と喜ぶ。除幕式は故人と親交のあった友人らが集う中、二十一日午前十時から行われる予定だ。
「砂丘にまろびて韜晦(とうかい)を愉しめば海よりそよぎて朝は流るる」
揮毫は若松孝司さんが、石工は須藤岩男さんがそれぞれ手掛けた。御影石を使用、天然のものらしく不均整な部分が目立つが、かえってそれが独特の味わいを生んでいる。
「日系文学」、「椰子樹」の会員らが中心となって、石碑の設置を目指してきた。方々から寄せられたお金は一万レアルを超え、石碑にかかった六千レアル以外は、二月をめどに進められる武本さんの遺作集の刊行費用に当てるという。
十日、安良田済、梅崎嘉明、水本すみ子の三氏が案内に来社。「武本さんはイビラプエラ公園の日本館にある岩波菊治の歌碑設置に尽力した。今度はわたしたちが武本さんのために尽くす番だった」などと、口々にその思いを述べた。
 《武本由夫》
 一九一一年、岡山県赤磐郡生まれ。一九三〇年に渡伯後、短歌誌「椰子樹」の創立に参加。「「コロニア文学」誌の編集主任を務めるなど、日系社会の文芸活動を盛り立ててきた。