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「君子論」静かなブーム=マキァヴェリズム見直される

1月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ブラジルを識りたければマキァヴェリの「君子論」を読めといわれるほど、ブラジルの中流階級では聖書に並ぶ必読の書になっているという。
その「君子論」がいま、静かなブームを呼んでいる。ブラジルの中流階級の人たちの考え方には、マキァヴェリズムが影響している部分が大きいらしい。
 ニコロ・マキァヴェリは一四六九年、イタリヤのフローレンスに生まれた。三十二歳から十四年間、フローレンス共和国の外相を務めた。古代ローマ帝国の実力と思慮に習い、新しい社会秩序を樹立するためには、伝統的道徳律と宗教律を破り、それに束縛されない強い支配者でなければならないと主張した。
 外相辞任後、「君子論」「戦術論」「フローレンス史」[古代ローマ史」その他多数の処世論を著す。西洋版の兵法指南書のようなもので、目的のためにはいかなる手段も容認する権謀術数思想と誤解され、ローマ法王から弾劾された。
 真意は、行為は道徳や宗教に束縛されないで、具体的にいかなる結果をもたらすかを判断基準にするべきだというのだそうだ。
 ブラジル文化は、世界中の移民が集まって育んだ複雑多岐な多面的文化で、政界、事業界では覇道思考が主流になって舞台の主人公になるらしい。それが「君子論」の見直される理由のようだ。