1月9日(木)
外務省改革の一環で、二〇〇五年度にその廃止が予定されているポルトアレグレ総領事館の存続を訴え、現地の南日伯援護協会が中心となって昨年九月より進められてきた反対署名運動への参加者が同十二月までに、約九千五百人に上ることが、明らかになった。同協会が発行する「援協ニュース」が報じている。栗原隆之事務局長によると、集まった署名は同十一月の時点で、二十ページにもなる嘆願書を添えて、いったん、日本へと届けられた。しかし、外務省が今後、これを黙認し、廃止の見直しを検討しない場合には、「全伯の日系団体に協力を呼びかけていく」姿勢を固めている。
同総領事館管内には約千九百人の日本人と、五千人ほどの日系人が在住する。署名運動は運動会、敬老会などのイベントを通じてまずスタート。一方で、各人が友人らに協力を求めた結果、署名の半数はブラジル人となった。「一般州民の方が日系人を、日本を大切に見ている証拠」
また、現地の日系商工会議所が各国の駐在商社などに働きかけ、アメリカ人、ウルグアイ人の名前も連なっているという。
運動開始からわずか二カ月ばかりで一万に達しようという署名が寄せられた。
栗原事務局長はその訳を、「ここはメルコスルの玄関口で、肥よくな農業地帯も広がる。中国が今どんどん経済使節団を派遣していることから分かるように外交戦略上、重要な場所だ。みんながそれを認識しているのでは」と推測する。
続けて、「外務省は開発援助などの都合上、東チモールや、中国の重慶などアジアを中心に領事館を新設しようとする動きを見せているが、邦人はこちらのほうが多い。邦人保護こそがまず総領事館の仕事だと思う」と、元同総領事館職員の経験から、外務省の方針を批判する。
実際、サンタカタリーナ州とリオ・グランデ・ド・スル州の二州は日本の国土面積に匹敵。「ポルトアレグレ総領事館は、在住邦人の唯一のよりどころ」。
嘆願書付きの署名リストはリオ・グランデ・ド・スル州、ポルトアレグレ市とそれぞれ姉妹関係にある滋賀県、金沢市の関係者を始め、麻生太郎自民党政調会長にも届いている。同氏の親戚に当たる同協会の麻生陽(きよし)副会長が訪日、第一秘書に手渡したという。
現時点ではまだ反応が返ってきていないものの、現地では今後も、廃止の見直しに繋がる実態調査を外務省に要請していくつもりでいる。事態の好転が見られないときには全伯規模の署名運動も計画にあり、「日本の雑誌などマスコミを通じた圧力も考えている」という。