1月7日(火)
二〇〇三年度の新年祝賀会が一日午前十一時から、文協ビル記念講堂で開かれた。総領事館、文協、援協、県連、商議所五団体の共催で、約千人が新しい年明けを祝った。新年は「百年祭」へ向けての準備の年と位置付けられ、それが確認された。各界代表とも気負ったあいさつをする人はなく、地味ではあるが確かなスタートを切りたいというコロニアの願いが感じられる祝賀会となった。
記念講堂は、背広にネクタイを締めた白髪交じりの一世と二世で満席となった。高橋一水県連副会長の司会で開会、文協女声合唱団のリードで日伯両国歌が厳粛に斉唱された。
岩崎秀雄ブラジル日本文化協会会長は、混迷の続く世界経済、政治について触れた上で、ブラジル経済については「今日、就任するルーラ大統領に大きな国民の期待がかかっている」と希望を寄せた。日系コロニアについては、「百五十万人ともいわれる日系社会は、三、四世が主流の時代に入った。日本語離れが進む中で、日本人の持つ美点は受け継がれておりブラジル社会の中で貴重な存在だ」との認識を示し、その中で文協改革が今進められていると報告。「百年祭へ向けて準備を開始したい」と今年の文協活動の方向性を示した。今年八十一歳を迎え、二期四年を務める文協会長として最後の正月あいさつとなることを踏まえ、『暮らしは質素に、思いは高く』という会長が一番好きな言葉を披露、後継者である三、四世にはなむけとして贈った。
佐藤宗一サンパウロ総領事館首席は、江藤隆美衆議員がルーラ大統領就任式に臨席しており、赤阪清隆総領事はアウキミン州知事就任式に出席していると報告。「今年はブラジル日本移民九十五周年、戦後移民五十周年に当たる。さらなる議論を重ね、節目となる立派な式典行事を実現してほしい」と希望した。総領事館については、「開かれた役に立つ総領事館」をモットーに進めていくことを明らかにし、日系社会との友好関係を今後も保っていきたいと館の意向を伝えた。同館から、ほかに中須洋治日系社会班担当領事、西山巌邦人保護・証明班担当領事が顔を見せた。
和井武一サンパウロ日伯援護協会会長の発生で、「万歳、ヴィーヴァー、サウーデ」を三唱し、式典を閉会した。
余興として花柳寿り翔さんの『七福神』、大坪豊声・関西詩吟文化協会ブラジル本部豊声会会長の『新年を迎う』、隈下萌声さんの『望湖楼』が披露された。会場から「すばらしい、いぶし銀のような声だ」との声が聞かれた。
大サロンに会場が移され、出席者全員で『一月一日』を斉唱し、田中信ブラジル日本商工会議所会頭が「今年政権を執るルーラ大統領はオーソドックスな政策を打ち出しており、期待できる」と冒頭あいさつし、乾杯の音頭を取った。出席者たちは雑煮、巻きずしなどコロニアのお節料理を食べながら談笑、「今年も頑張りましょう」と互いに励まし合っていた。