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湖西市女児死亡事故=連邦司法高裁が上訴受理=時効判決が覆る可能性も

 【既報関連】静岡県湖西市で2005年、山岡理子ちゃん=当時(2)=が死亡した交通事故で、連邦司法高等裁判所(STJ)は3日、パトリシア・フジモト被告に対する州検察の特別上訴を受理していた。同裁のサイトによれば報告担当判事を指定しており、審理が行なわれ、判決が出る見込みだ。
 サンパウロ州高裁は4月に行なわれた控訴審で、同被告に対する量刑を禁錮2年2カ月から2年に減刑し、時効が成立したとの判決を出した。州検察は10月、これを不服として連邦高裁に「特別上訴」として上告した。
 同月23日に州裁のサイト上で公表された判事(刑事部長)の文書では検察の特別上訴を承認しており、「(二審判決が)憲法105条第3項a号に違反している」ことを法的根拠としている。その該当条項には、「条約または連邦法に(判決が)違反している場合、特別上訴が認められる」とある。
 刑事専門の弁護士によれば、「特別上訴」が認められるのは二審判決が官報に掲載されてから15日以内。今回の場合、二審判決が公表されたのは今年5月5日だった。サイトによれば特別上訴が出たのは10月23日(官報掲載は27日)で、実に5カ月以上経過してからの上告だった。
 また、二審判決後の6月2日、検察側から判決内容の明確化を求めるための異議申立てがなされた。この異議申立ては第三審への上告ではなく、反対意見を有する判事の論拠に立脚して判決の再審査を求めるものだが、今回の判決に関わった3人の判事は全員一致で時効判決を出している。また、この異議申立ても本来は判決後5日以内に行われるべきものだったが、実際は判決から1カ月過ぎた後だった。
 この特別上訴までの5カ月という期間に関し、州検察の広報担当者は「時間がかかった」としながら、「プロセスの遅れは法律で認められている範囲」と答えており、担当検察官は広報を通じて「この件に関してはマスコミへのコメントを避けたい」とした。
 被告側のエドアルド・シケイラ弁護士は本紙の取材に、「最悪でも、第一審の判決よりも(被告に)不利な判決は出ない。そのように法律で決まっている」と話しており、日伯間の法律問題に詳しい弁護士は「時効判決が覆される可能性もある」とみている。