最高裁で27日、サンパウロ州とミナス、リオの3州にまたがる南パライバ川の水利用に関する調停が行われ、3州知事間の合意が成立、サンパウロ州が同川に取水施設を建設するための入札準備に取り掛かる事が可能になったと28日付伯字紙が報じた。
3州知事には、各州が必要とする工事着工の許可と共に、南パライバ川の水使用に関する解決策を2月28日までに提出する事が求められた。工事開始には国家水資源庁(ANA)の許可も必要だが、許可が出れば、サンパウロ州水道公社は同川からカンタレイラ水系へ5・3立方メートル/秒の水を引く事が可能となる。
南パライバ川はサンパウロ州に端を発し、3州184市に水を供給している。このため、今年3月にジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事が同川上流のジャグアリー貯水池とカンタレイラ水系のアチバイーニャ貯水池を繋ぐ施設建設計画を打ち出すと、リオ州知事らが「近隣州に相談もせず、南パライバ川の水を使うつもりか」と不満の声を上げた。
南パライバ川は複数の州にまたがって流れており、水の利用には国家水資源庁(ANA)の許可が要る。リオ州のフェルナンド・ペゾン知事によると、リオ市民の83%は同川からの水に依存しているなど、同川の水量減少は同州の水の供給に深刻な影響を及ぼす。また、ジャグアリー貯水池には水力発電所もあり、放水量確保はエネルギー政策面でも重要だ。
サンパウロ州とリオ、ミナス州間の紛争は、ANAが工事を許可するのを禁ずる暫定令を出すよう、連邦検察庁が最高裁に要請する事態に発展。ルイス・フックス最高裁判事は11月3日にこの要請を却下したが、それと同時に召集されたのが、27日に実現した3州知事や関係諸機関の代表による公聴会だった。
ジャグアリー貯水池の水をアチバイーニャ貯水池に引く計画はサンパウロ州水道公社とサンパウロ総合大学(USP)の技師によるもので、必要に応じて逆の流れにも対応できるよう設計される。サンパウロ州側はリオ州で水不足が起きた時に対応するために新しい貯水池を造り、162億リットルの水を蓄える計画も立てている。
この工事の予算は8億3千万レアルで、工事期間は14カ月の予定だ。入札準備にも3カ月程度かかるため、どんなに急いでも完成は2016年だ。この工事の予算は既に、アウキミン知事が今月10日にジウマ大統領に要請した350億レアルの援助の中に含まれている。
なお、28日朝現在のサンパウロ州内の各水系の貯水量(率)は、カンタレイラ9・0%、アウト・チエテ5・8%、グアラピランガ33・9%、リオ・グランデ64・0%、アウト・コチア30・1%、リオ・クラーロ32・1%となっている。
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