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超リアルな彫刻が一堂に=ピナコテッカでミュエク展

 リオ市での成功をうけて、サンパウロ市でも11月22日より、オーストラリア人の超写実的彫刻家、ロン・ミュエクの作品展が開かれている。
 ミュエクの作品は、コンピューターを使わずに、人の体を精巧に細部にこだわり作り上げられていることで知られている。ある作品は人体を巨大化させ、あるものは縮小して作られている。
 ミュエクの作品にはガリバーに出てくる巨人のような大きさのものもあり、しわやほくろに至るまで、人体を忠実に模写するかのように作られている。
 ミュエクの作品の与えるインパクトは彼の作品の大きさと同じくらいだと言っても過言ではない。
 オーストラリアの人形製造業者の息子として生まれ、現在はロンドンにアトリエを構えるミュエクは、樹脂、グラスファイバー、シリコン、アクリルで作った超写実主義(ハイパーリアリズム)作品で世界的に有名になった。今日では英国でも世界的にも最も重要な現代アーティストとして名を知られている。
 ミュエクは20年以上、テレビや映画用人形や操り人形を作っていた(1986年には映画「ラビリンス/魔王の迷宮」に参加している)が、造形美術家に転身した。
 ミュエクの論理はシンプルである。原寸大を大きく超えるスケールの作品は、感情的にも心理的も大きなインパクトを見ている人に与える。ミュエクがインタビューに応じる事は少ないが、その中の一つで、「普通の大きさで作ったのでは伝わらないものが、大きく作ると伝わるんだ」と語っている。実際に彼の作品を見た人はその大きさに圧倒され、細部まで見ようと、作品の前に立ち尽くすことになる。
 「枝を抱える女」(2008)や「仮面Ⅱ」(2002)といった作品は、リオデジャネイロ美術館で好評を博した後、サンパウロの州立ピナコテッカ絵画館にやってきた。口を半開きにして寝ている男性の巨大な顔の作品、「仮面Ⅱ」はミュエク本人の顔をモチーフにしている。
 ロン・ミュエク展は来年2月22日までサンパウロ州立ピナコテッカ絵画館で開かれている。
 月曜休館、午前10時より午後6時まで、木曜日のみ午後10時まで開館。入場料6レアル、学割3レ・10歳未満の小児と60歳以上は無料。木曜午後5時以降と土曜日は無料。