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料理研究科の中南米食文化紀行=エクアドルに在りし長寿村

グルメクラブ

2月20日(金)

 先住民、奴隷だったアフリカ系黒人、そして元宗主国のスペイン人がこの国の文化形成に影響を与えた。 気候・地形も多様だ。雪を頂いたアンデス山脈、アマゾン川流域の熱帯ジャングル、海岸もある。
 歴史的に興味深いのはバルディビア遺跡の土器と縄文中期のそれに同一と言ってもいい類似点が指摘されることだ。わたしもつくづく実感。「縄文人太平洋横断」説は本当だろうか。
 料理では牛の胃袋とジャガイモのシチューがよく食べられる。これに調理用バナナの揚げ物、乾燥肉の煮込み、ご飯をあわせて盛り付けると「バンデイラ・パイサ」になる。見た目が「国旗」を想像させるため、そう呼ばれている。
 ソーセージ、ポテトのオムレツ、アボガド、チーズが乗った一皿とともに国民的メニューといえよう。
 海岸地域では蟹、山岳部ではクイ(モルモット)を丸焼きにして食べる姿をみる。クイの皮はパリパリして旨いが、どうしても骨が多くて肉が少ない。
 昨今、長寿村の存在への関心が高い。エクアドルにもそんな村があった、と過去形でいうには理由がある。知るところによると、評判を聞きつけた欧米人が村にどっと押し寄せ、ペンションやスーパーを建てたり、伝統的な長寿食を買い占めたりしたせいで村民の食事と生活環境は一変。わずか五年間でその平均寿命が急降下したという。
 食生活と環境の近代化がもたらす害に、言葉でいえない恐ろしさを感じた。