14日にあった衆院選の投開票の結果、投票率は52・7%と戦後最低を記録した。国外では、有権者数10万5836人中、投票したのは19・97%の2万1138人だった(総務省統計)。これでも国内の投票率の2分の1以下だが、実際、在留邦人は125万8263人もいるので、わずか1・6%しか投票しなかった計算になる▼当地でも昨日報じた通り、在外選挙人登録者1万6000人中、投票したのは6%の958人とやはり微々たるもの。「どこに投票しても同じ」という一種の諦念が日本国民全体にあるとはいえ、祖国日本を想い、絶えず動向を注視している移民が多い当地において、この数字は少々低すぎる印象だ▼問題の所在は、一つに投票所の少なさがある。たとえば在ベレン領事事務所は4州が管轄下に置かれているが、投票所は同事務所のみ。日本ですら投票のために県をまたごうとは思わないだろうから、ましてや国土が日本の22・5倍もあるブラジルで、である▼高齢になると外出が億劫になるし、一人で出歩くのも物騒だ。自宅でインターネット投票ができれば理想的だが、それが無理なら、せめて在外公館との郵送によるやり取りで投票出来るようにならないものだろうか。現行の制度だと郵便投票には日本と1往復半のやり取りが必要なので、3週間はかかる。手続きに手間取ると、投票を前にして踏み留まってしまう▼2000年に在外選挙が始まったものの、実際に投票するのが全在留邦人の2%にも満たないではもったいない。格式ばった手続きよりも、各国や地域の状況にあった、有権者が投票しやすい制度作りを進めてほしい。(阿)