フランシスコ法王が78歳の誕生日を迎えた17日、米国とキューバが国交正常化に向けた交渉開始を発表し、コロンビア革命軍(FARC)も無期限停戦を宣言した▼法王の誕生日はアルゼンチンの国旗にちなんだ青と白のケーキと数百組の人達によるタンゴという趣向で祝われ、「祖国にいるようだ」と喜んだ上で、米国とキューバとの国交正常化交渉の開始にも触れた▼フランシスコ法王はオバマ大統領とラウル・カストロ議長の双方に両国の関係正常化を促す手紙を送っており、仲介役を果たした一人だからだ。この事はローマ法王庁が同日行った声明でも言及があり、ブラジルのテレビニュースも「法王の奇跡」との言葉を使った▼オバマ大統領とカストロ議長は13年12月、ネルソン・マンデラ氏の葬儀で歴史的な握手を交わしており、その1年後の法王の誕生日の国交正常化交渉開始との発表は、革命政権樹立から55年目という節目と仲介者の法王への顕彰の両方の意味があるのかとも考えてしまった▼中南米諸国の首脳は軒並み、両国の国交正常化への動きを歓迎。ジウマ大統領も仲介役となったフランシスコ法王の貢献を讃えつつ、「壊れた関係を修復するよい手本となる」と語ったと報じられている▼そういう意味で少し残念なのはコロンビアだ。FARCはコロンビア政府と合同での無期限停戦を宣言したがっていたのに、17日の停戦宣言はFARCだけのもので、政府軍がFARC本部を攻撃してきた場合は即座に停戦を解除するとの文言も盛り込まれたからだ▼神が人との関係を修復するために独り子を送って下さったクリスマス。永遠の平和の成就を改めて望みたい。(み)