在サンパウロ日本国総領事館(福嶌教輝総領事)は17日午後、日本政府が当地で設立する『ジャパンハウス』(仮称)について、同総領事館で意見交換会を行なった。コロニア、日系企業、伯企業などから約50人が出席。会合後に報道陣に対し、事業方針、運営は民間で入札により決定すること、2015年内の着工、翌16年の開設を目指す意向が明かされた。
佐野浩明首席領事と中山雄亮副領事が取材に応じた。報道陣非公開の意見交換会では、同施設設置の背景、方針が確認され、「外務省が展開する『戦略的対外発信の強化』の一環として親日家を育成する」「外国人が日本を知るために出入りできる拠点とする」旨が伝えられた。
日本側でなく、現地の要望が最大限に反映されることを強調し、「現地に暮らす人間が日本の何を知りたいか、という観点が最重要」と説明。「そして日本人として誇りを保てるものを創設する」と話した。
参加者からは「一貫性をもった運営を」「日系社会がどれほど関われるのか」といった要望や質問が寄せられ、制度設計に活用するため、日本側にも伝えられる。
サンパウロ市以外にロサンゼルス、ロンドン、香港、ジャカルタ、イスタンブールの6都市に設立されるが、運営はどれも民間団体となる。不動産、設計、事業運営など専門家を一括で委託。選定業者がビジネスとして展開する方針で、「運営母体が収益を得る仕組みを構築することで、継続した活動が出来る」というのが狙いとなっている。
「中身は事業主が外から持ってくる」という方向。講堂、展示室、飲食スペースといった設備をどのように利用するかは、外部業者に発注し整備するという。例えば地方特産品の物販コーナーを儲ける場合は販売業者を呼び、アニメイベントを行なう場合は企画・運営業者に委託するといったことが考えられる。
大まかな事業方針は、日系人を幅広く取り込むもの、ブラジル人に大きく比重を置いたものなど様々。事業主次第とも言えるが、第三機関として運営委員会を設立するという。館長、事務局員に加え、在聖総領事館が人選したブラジル人有識者、コロニア関係者などで組織される。幅広く意見を取り込み、立ち上げや運営に役立てたい方針だ。
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外務省は『戦略的対外発信の強化』に500億円の予算を要求しており、ジャパンハウス3都市(サンパウロ市、ロサンゼルス、ロンドン)に50億円が充てられる。予算が承認される前提で、年明け早期にも公示・入札を行なう予定。日本側で運営業者を選定し、設計や着工に取り掛かる。同総領事館は15年内の工事開始、翌16年の開設を目指している。