自動車業界が生産縮小などを強いられている中、フォルクスワーゲン(VW)がサンパウロ州のアンシエッタ工場(サンベルナルド・ド・カンポ市)の従業員約800人を解雇したと6日付伯字各紙やサイトが報じた。
同工場の従業員は約1万3千人で、大半の従業員は2~5日に約30日間の集団休暇が終わり、6日から業務を再開する旨と会社が直面している問題などに言及する手紙を受け取った。だが、約800人には6日の始業前に会議室に集まるよう記した手紙が送付され、6日朝、会社側が800人の解雇を発表した。
VWによると、近年の業績の落ち込みは2013年から行ってきた方策だけではカバー出来ず、解雇の判断に至ったという。同社は昨年12月、2100人の自主退職を募る、特別手当を支給する代わりに15、16年の給与は凍結するなどの打開策を提示したが、労働組合がその提案を拒否したために、それ以降は交渉が決裂していた。
自動車業界の業績はここ数年振るわず、2013年は、乗用車と軽量商用車、バス、トラックの販売総計が2012年比0・91%減の376万7179台となり、2003年以来続いてきた販売増に終止符を打った。
また、6日には全国自動車販売業者連盟が、2014年の販売台数は13年比7・15%減の349万7811台で、軽量商用車を除く全車種で販売が減少し、過去12年間で最悪の結果で終ったと発表した。
14年の自動車の生産は、国内販売の減少と輸出の減少(約40%)の影響で約15%縮小している。中でもVWは販売が13・5%減り、国内のシェアも業界3位の17・32%に転落。27年間車種別販売でトップだったGolも2位に転落するなど、業績改善のために思い切った方策が必要とされていた。
GMは販売が10・9%減り、国内シェアは国内2位の17・39%に。車種別販売で1、3、5位を占めたFiatも販売は8・4%減ったが、シェアは20・97%を確保した。
販売減が著しいバスとトラックを製造しているメルセデス・ベンツも人員整理を検討中で、昨年末に自主退職を募る意向を発表後も、一部グループのレイオフ(一時的な雇用契約解除)を5カ月間延長している。
2日付エスタード紙には、生産拡大に向けた投資を削減した企業は20%に上り、経費削減のためのプロジェクトを導入する企業は増加とのイタウBBAによる調査結果が掲載されている。
VWも、人員整理は工場の競争力を向上させ、生産効率を適正化するためのるための経費削減策の一つとの見解を示したが、解雇を不服とする同社組合員らは6日朝から無期限ストに突入した。