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公共支出抑制で大統領令=月19億レの節約目指す=インフレ沈静化にも不可欠

 【既報関連】ジウマ大統領が8日、今年度の予算案が承認されるまでの間、月19億レアルの公共支出を抑制するための大統領令を発したと9日付伯字各紙が報じた。
 基礎的財政収支の黒字目標達成を第2期政権の最重要課題とする同大統領にとり、公共支出の抑制は信頼性回復とインフレ抑制のために不可欠との新経済スタッフの意見は、抗いがたい。
 公共支出抑制案は経済スタッフらが5日にまとめ、6日に大統領に提示されたもので、7日夜に大統領が承認、8日に大統領令が発せられた。
 同令は今年度の予算案承認までの暫定的なもので、39の省庁の月間支出を予算額の18分の1に抑える事で、月18・8億レ、年226・5億レの支出抑制を図る。省別の予算削減額は教育70・4億レ、国防18・8億レ、都市17・3億レ、社会開発16・8億レ、科学技術15・7億レなどとなっている。
 ジョアキン・レヴィ財務相らが推奨する経済政策は、ルーラ政権から第1期ジウマ政権までの常套策だった公共支出の拡大による景気刺激という考え方と真っ向から対立する。財務相らは「入るを知り、出るを制す」という原則に則り、基礎的収支の黒字を確保し、国債そのものも含む真の赤字額を減らす所存だ。
 15年の基礎的財政収支の黒字目標は国内総生産(GDP)の1・2%だが、この数字を達成しても既存国債の利子支払いと元金返済の両方までは無理がある。だが、この目標の達成は国際的な信用格付を維持し、投資に適した国というお墨付きを失わないための必須条件で、その後の真の赤字削減の第1歩となる。
 ジウマ政権では2012年以降、基礎的財政収支の黒字目標が達成できず、公共事業費の未払い額も増大している。14年から15年に繰り越された公共事業費は2439億レに及び、国庫庁や連邦検察庁も、帳簿上の会計操作による経済の混乱や事実隠蔽に関する調査を行っている。
 14年の経済成長率は公表されていないが、インフレは9日に年6・41%だったと発表された。第2期ルーラ政権最終年の10年以降の物価は、5・91%、6・5%、5・84%、5・91%、6・41%と、上限の6・5%に近い水準で上昇している。
 レヴィ財務相は9日、15年年頭のインフレは上限値を超えるが、年末には上限以下となり、16年は目標値そのものまで低下するとの見解を表明。物価の舵取りの中心は中央銀行だが、公共支出の抑制もインフレを抑えるための方策の一つとの考えを明示した。ただし、15年の予算をカットした後に未払いのままの公共事業費の支払いを加えた場合の国庫支出がどの位に抑えられるかは明言を避けている。