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大サンパウロ市圏の水圧また低下=降水量なかなか回復せず=伐採地域で植生復活の動き

 サンパウロ州水道公社の総裁が交代し、ジェルソン・ケウマン新総裁が9日、同州での水不足に関して厳しい見方を表明。水圧低下といった措置の拡大も示唆したと10日付伯字各紙が報じた。
 新総裁は、「今年の水不足は過去最悪とされた14年より厳しく、水の使用量を減らすための措置をより厳密化せざるを得ない」という。
 13日の各水系の貯水量(率)が過去10年間の元旦の平均貯水量に対する%を見ると、カンタレイラ6・4%(10・3%)、アウト・チエテ11・3%(21・5%)、リオ・クラーロ27・1%(34・1%)、アウト・コチア30・2%(39・6%)、グアラピランガ39・8%(63・3%)、リオ・グランデ70・1%(86・0%)で、平均並みといえるのはリオ・グランデ水系だけだ。
 昨年1月13日の貯水量は、カンタレイラ25・2%、アウト・チエテ44・9%、リオ・クラーロ101・3%、アウト・コチア66・1%、グアラピランガ66・1%、リオ・グランデ86・0%だったから、全水系での貯水量低下は明らかだ。
 カンタレイラ水系とアウト・チエテ水系は昨年から、これまで手付かずだった〃未開の水域〃にも手をつけている上、夏の降水量は平年の量を大きく下回っている。
 水不足の上に雨が少ないとあれば、貯水量を維持するには水の使用量を減らすしか方法はない。ケウマン総裁は、使用量削減のためにボーナス以上の効果を挙げた水圧低下を最大75%までとし、より広範囲に適用する意向を示した。月間使用量が13年2月~14年1月の平均使用量を超えた場合の追徴金適用地域も拡大された。
 SOSマッタ・アトランチカによると、カンタレイラ水系の主要水源であるジャグアリ川周辺やマンチケイラ山系では、原生林伐採が続き、川を浅くする土地の侵食も拡大している。水源に近い地域の森林伐採や成長が早いが水を多く消費するユーカリなどの樹木栽培は、同水系への水の流入量減少の原因の一つだ。
 原生林の喪失は降水量の減少、土地の侵食、貯水量低下といった影響を招くため、同団体は、カンタレイラ水系の原生種86種の苗木100万本を用意。ある程度雨が降り、地中の水分が回復したら、ジャグアリ・ジャカレイ、カショエイラ、アチバイニャなどの貯水池周辺からブラガンサ・パウリスタ地区にかけた地域に植林する予定だ。
 ミナス州内ではマンチケイラ山系にある複数の川の水源が12月以降の雨で復活との報告もあるが、この雨は例年は9月から降り始めているもので、ブラガンサ・パウリスタ地区の川の流水量は平年の20%しかない。