ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | サンパウロ州水危機=ビリングス貯水池が救世主?=サンパウロ州知事が可能性を語る=現在の貯水量はかなり豊富=水質を疑問視する声も

サンパウロ州水危機=ビリングス貯水池が救世主?=サンパウロ州知事が可能性を語る=現在の貯水量はかなり豊富=水質を疑問視する声も

 ジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事は21日、大サンパウロ市圏での水危機に対応すべく、ビリングス貯水池からの放水量を上げる意向があると言及した。同貯水池は水量そのものは豊富ではあるが、水質などの面で不安材料も少なくない。22日付伯字紙が報じている。

 ビリングス貯水池はサンパウロ市から見て南西、サンベルナルド・ド・カンポの南近辺に位置する貯水池だ。同貯水池は、サンパウロ州の6大水系のひとつには数えられていないが、最大貯水量は1兆2千億リットルで、同1兆2600億のカンタレイラ水系に近い貯水量を誇っている。
 ビリングス貯水池の21日時点での貯水率は57%で6千億リットル以上あり、アウキミン知事の言葉を借りると「現在大サンパウロ市圏に給水している主要6水系の水の合計の2倍以上の量がある」とのことだ。
 現在、同貯水池からはABC地区に水を供給しているリオ・グランデ水系とサンパウロ市南部を中心に水を供給しているグアラピランガ水系に水を供給している。アウキミン知事としては、同貯水池の水を従来通りのグアラピランガ水系にまわすとともに、現在建設中の設備を利用し、サンパウロ市東部やスザノ、モジといった地域に供水しているアウト・チエテを補強する役割を担わせる意向だ。
 同知事は、ビリングスからグアラピランガへの放水量を、現在の毎秒2190リットルより1千リットル増やすことを考えている。グアラピランガからの放水量は昨年、カンタレイラ水系を助けるべく、毎秒1億1千万リットルから1億5千万リットルに引き上げられた。カンタレイラ水系の水位低下は止まらず、22日午前9時現在の貯水率は5・4%となり、3度目の「未開の水域」解禁が噂されている。
 アウト・チエテも2014年にカンタレイラ補強のため、サンパウロ市東部のアリカンドゥーヴァやタトゥアペーなどの地区向けに放水量を毎秒2千リットル増やしたが、同水系は未開の水域も豊富でない上、22日朝の貯水率は10・1%まで低下しており、枯渇の恐れがある。アウキミン知事はサンパウロ市東部への給水は従来通りカンタレイラからとする一方、設備が整い次第、毎秒4千リットルの水をビリングスからアウト・チエテに引くことを考えている。
 だが、ビリングスの水に関しては水質を不安視する声も強い。それは、同貯水池に流れ込むピニェイロス川からの下水や工場排水、同貯水池の岸に建てられた不法住宅からの生活排水などによるものだ。この1月にSabesp総裁となったジェルソン・ケウマン氏は以前から、ビリングスからの水のさらなる使用の可能性を示唆しつつも、水質改善のために巨額の資金を要することも明らかにしていた。
 1月のカンタレイラ水系の降水量は21日時点で平年の23%、アウト・チエテも同16%であるため、南東伯まで上昇してきた寒冷前線による雨が加わっても、平年の同月の平均降水量には到底及ばない。