サンパウロ州の水不足は、各水系の貯水量低下や水道代の上昇にとどまらず、断水や給水制限の可能性の高まり、電力問題まで、複合的な影響を引き起こしていると、23日付伯字各紙が報じている。
サンパウロ州水道公社(Sabesp)新総裁ジェルソン・ケルマン氏は21日付フォーリャ紙で、大サンパウロ市圏の住民は水不足のため、数日間水のない状態に置かれうると述べた。
「全体の1%以下ではあるが、高台に住んでいて家に貯水タンクのない家では数時間から数日間、断水する可能性がある」とし、「当公社は『給水制度』を行っていないが、これ以上渇水が続けばやむを得ず『給水制度』をする可能性がある」と述べた。
ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)は21日、カンタレイラ水系に支援給水を行い、水位低下が著しいアウト・チエテ水系に、ベルチオガ市を流れるグアラツーバ川からの水を引く計画を明かした。
アルキミン知事は、1月に許可が出、今年2月から徴収が始まる水の過剰消費への罰金システムを、4月から変更する可能性もある。現在は13年2月~14年1月の平均消費水量より多く消費したらその割合に応じて水道代に40%、100%の追加徴収を課す仕組みだが、これを14年2月~15年1月の平均消費水量を基準に計算するというのだ。13年2月~14年1月はまだ水危機が叫ばれておらず、消費水量は平常通りだったが、14年2月~15年1月は既に水危機が深刻化して消費水量が抑えられている。その値を下回らないと追加徴収となれば消費者には厳しく、ボーナスの恩恵も受け難くなる。同知事は例年通り4月に水道代値上げをとの提案には難色を示している。サンパウロ州の水道代は昨年12月に6・49%調整されたばかりだ。
昨年11月と12月にノッサ・サンパウロネットワークがIbopeと共同で16歳以上の人1512人に聞き取り調査を行ったところ、30%は「現在の水危機はサンパウロ州知事に責任がある」と答え、61%は「Sabespの責任」とした。
21日はリオ州最大のパライブーナ貯水池でも取水口の下の水を開放する必要が生じ、同貯水池にある水力発電所の運転が停止された。
一方、22日午前4時頃、停電のため二つの浄水場のポンプが止まり、サンパウロ市南部と同西部、コチア、エンブーを含む5市の住民合わせて120万人が断水状態に陥った。
停電は電線の上に樹木が倒れ、枝が落ちたために起きたとエレトロパウロ社は説明した。同社のスタッフが現場に急行するも、高さ20Mの倒木を撤去しなくては電気の復旧は不可能と分かり消防隊を呼んだ。消防隊の準備不足も重なり、復旧は夜までかかった。