イスラム国の人質殺害事件は本当にやるせない。物見遊山で行ったわけではなく、報道などを通じて平和を願う純粋な思いからのものだけに憤りを覚える。世界中の哀悼の意が伝えられているが、こうした事件が起きると、政府の責任を問う筋違いの批判が起きるのはさておき、「自己責任」という非難の言葉が沸き起こるのが常だ▼「ブラジルだからしょうがない」という言葉をよく聞く。つまり、強盗に遭おうが、理不尽な苦痛を味わうことになろうが、自分で好き好んで来ているのだからしょうがない、という意味だ。それほどブラジルには危険が満ち溢れている。犯罪もさることながら、たまにのったバスの手すりに釘が出ていて怪我をしたり、食べ物に異物が入っていたりというのは普通なだけに、日本で大騒ぎしているのは何とも異常だ。やれやれ―と思う程度の話だ。自分で自分を守るのは当然ではないか、というのが常識、というか諦観か▼熊本県でバイクで走行中、道路にあった穴が原因で転倒、怪我をした女性が道路管理の不備が原因として県を相手どった裁判があった。事故現場は見通しの良い直線道路。出た判決はなんと800万円の支払い。どうだろうか。注意不足とはいわないが、非常に違和感を感じるのはコラム子だけだろうか▼当地に過ごしていると、道路は穴が開いているものだ。誰も信用していない。大都市サンパウロでもそうなのだから、地方都市だとひどいものだ。これが通るから、様々な問題が即座に解決し、整っていくのだろうが。しかし、ゴネ得で自己無責任な国になっていく。それもやるせない。(剛)