南東伯中心に水や電力の供給不安が広がる中、水や電力の供給制限が行われれば、今年の国内総生産(GDP)は2%程度落ちるとの見解も発表されたと1日付エスタード紙などが報じている。
クレジット・スイッセ銀行は、電力供給が制限された時のGDPは1・5%、水の供給制限も重なればGDPは2%縮小と見ている。
工業界への影響は、車1台とジーンズのズボン1本の生産に40万リットルと1万7200リットルの水が要る事からも明白だ。前代未聞の水危機の中、リオ州は大手鉄鋼会社などにグアンドゥ川からの取水を禁じ、再利用の水を買うよう命じた。サンパウロ州もジャグアリ、アチバイア、カマンドゥカイアの各川からの工業用取水を30%削減。ミナス州も、州都周辺の企業に水の消費の30%削減を命じた。
サンパウロ州とリオ州の工業生産はGDPの7・5%に及ぶが、両州工業連盟はこれらの指示は両州の工場の60%に影響すると試算。リオ州では昨年末現在、10社に3社が水不足の影響を訴え、その1・3%は集団休暇を適用、6%は従業員を解雇した。同州の工業生産の65%を担う南パライバ川近辺の工場(従業員数は3万5千人)は影響がより大きい。サンパウロ州も、工業生産の56%を担う4万社(従業員数200万人)が影響を受け、生産を中止する企業が出てくる可能性もあるという。
農業界では水不足などで、作物や牧草が育たない、焼けた、牛の発育が悪く乳も出ないといった声が出ている。河川の水位低下で水運が止まり、農産物の輸送が陸運のみとなった事はコスト高騰などにも繋がる。
サービス業でも、食器類を使い捨ての物にしたり営業時間短縮などの対応を迫られている企業が続出している。
サンパウロ州の場合、3日朝のカンタレイラ水系の貯水率は5・1%、アウト・チエテは11・1%など、全水系で水危機が叫ばれ始めた1年前より貯水率が落ちている。この傾向はリオ、ミナス、エスピリトサントの各州でも同様で、ミナス州セーラ・アズル水系の貯水率は6・4%だ。
3日付本頁でも報じたように、南東/中西伯や北東伯の水力発電所のダム貯水率は低下が続く見込みで、電力供給制限の可能性も高まっている。