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ペトロブラス新総裁のベンディーネ氏 (Valter Campanato/Agência Brasil)
ペトロブラス新総裁のベンディーネ氏 (Valter Campanato/Agência Brasil)

ペトロブラスさらに苦境に=10年ぶりのドル高で=1ドル=2・879レに=国内外でさまざまな要因

 ここ数日ドル高が進み、11日は、2004年10月以来、約10年ぶりの高値となる1ドル=2・879レアルを記録した。これでブラジル経済、特にペトロブラスが運営上、ますます窮地に立たされることになりそうだと12日付フォーリャ紙が報じている。

 レアルに対するドルは6日以降4日連続で上昇し、11日は前日比1・99%ドル高となる1ドル=2・879レアルで終えた。これは2004年10月25日に記録した1ドル=2・889レアル以来の高値となる。市場では、カーニバルを迎える前に、2・90レアルを突破する可能性もささやかれている。
 今回のドル高は国内、国外、双方に理由がある。国内に目を向けると、連邦政府の議会での苦戦、南東伯などで顕著になっている干ばつによる水や電気の供給不安、「停滞」から「後退」に向かっている経済成長、そしてラヴァ・ジャット作戦に伴う連邦政府とペトロブラスの信用失墜などがあげられる。
 また国外の要因では、米国の政策金利引上げが近づいていること、中国経済の減速化、コモディティの国際価格や新興国の通貨価値の下落、そしてギリシャで急進左派の新政党が成立したことで同国がユーロ圏から離脱する可能性が高まっていることなどがある。
 また、以前なら、ドル高傾向が強まった場合は中央銀行が積極的に介入して昂進を抑制していたが、第2期ジウマ政権で就任したジョアキン・レヴィ財務相は市場の信用回復を第一とし、人為的にレアルの価値を高めるための中銀の介入をとめる方針をとっている。
 このドル高で、ペトロブラスはますます苦境に立つことになった。同社は、ガソリンやガスの輸入、油田開発に伴うロイヤルティの支払いなど、支出の約75%をドルで決済しているが、ドルによる収入は25%のみだ。国際的な原油価格の下落は輸入価格の低下にもつながってはいるが、レアル安になったことで、輸入したガソリン販売による収入は、2月始めの1日9870万レアルより2800万レアルも減収した。
 また、現在2614億レアルとされる負債額も70・5%がドルで計上されており、さらに投資も80%がドル建てという体質上、ドル価変動による影響を受けやすい。同社の財政は、ペトロロンの贈収賄による損害や14年第3期の正式な決算報告が出せないことによる融資停止、信用格付の引下げなどで逼迫していたが、ドル高で困窮の度合いが更に強まった。