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デング熱などを予防するための対策強化について語るハダジ市長(César Ogata/SECOM)
デング熱などを予防するための対策強化について語るハダジ市長(César Ogata/SECOM)

サンパウロ市=デング熱対策を強化=渇水危機と暑さの副産物=水不足の地域で蔓延の皮肉

 【既報関連】サンパウロ市保健局が12日、1月に確認されたデング熱患者は220人で、81人だった昨年より171%増え、水不足が深刻な北部に発生率が高い地区が多いと発表したと13日付伯字紙が報じた。デング熱が原因と思われる死者も1人いる他、感染が疑われる患者も、昨年の2倍弱の1368人いた。
 人口10万人当たりの患者発生率が高いのは、リモン30・1人、ブラジランジア15・2人、ジャグアレー11・9人、カーザ・ヴェルデ10・5人などで、上位3地区は北部にある。北部全体の発生率は10万人当たり4・9人で、西部の2・2人、南部の1・9人、東部の0・6人と比べ、状況は深刻だ。
 サンパウロ市では昨年、約2万9千が罹患。14人の死者も出て、過去最悪と騒がれたが、市保健局は先週、今年は患者数が9万人に達する可能性があるとも発表している。同局は当初、患者が増え始めるのは15~16週目と予想していたが、実際にはかなり早いペースで患者の数が増えており、懸念が広がっている。
 サンパウロ市では同日、デング熱やチクングニア熱を媒介するアエデス・アエジプチ(ネッタイシマカ)撲滅運動に防災局職員も加わると発表。アニャンガバウで行われた式典では、蚊撲滅を訴えるシールやスピーカーが付いた専用車両32台も披露された。専用車両は、各地区を巡回し、注意を呼びかけたりするのに使われる。当局の懸念材料は、渇水危機で雨水などを溜める人が増え、シマダラカの好むきれいな溜まり水という環境が増えた事だ。貯水傾向はカンタレイラ水系からの給水を受けている市北部でより顕著で、断水に備える節水対策としての貯水がデング熱の拡大を招いていると警告を発している。
 7日付G1サイトなどによると、1月に確認された全国のデング熱患者は4万人超。南東伯は2万2636人で、中西伯の8千人や北伯の4千人を大幅に上回る。サンパウロ州では流行状態となった市もあり、5人が死亡した内陸部では4市がカーニバルのイベントを中止。また、ジュンジアイー市では12日、軍兵士の協力も得、溜まり水の除去や貯水槽の蓋の有無確認などの作業を行った。