日本の農林水産省の「平成26年度中南米日系農業者連携交流委託事業」の一環として、中央開発コーポレーション(以下CKC、山口達郎代表、本社=東京都新宿区)が6、7の両日、サンパウロ州モジ市で「第2回連携強化会議」を行った。
当地を中心にアルゼンチン、パラグァイ、ボリビアから約50人が集まり、初日は各研修の代表者報告、日本の講師による講演、意見交換が行われた。2日目は同市の野菜農場、キノコの栽培工場を視察し、技術交流と組織間連帯を深めた。
この事業は「南米日系農業者の組織間の連携強化」「日系農業者のリーダー育成のための技術交流の促進」「南米四カ国と日本間で構築された農業交流関係の維持発展を図ること」を目的に各研修を行ってきた。
「専門家派遣研修」に参加した松崎エジソンさんは『農作物の再利用』をテーマに、中村健二専門家(株式会社「フードランド」代表取締役)の講演内容を紹介、「再利用について考える必要がある」と話す一方で、「日本と設備が違うので今すぐは難しい」と当地におけるの機械化の現状を吐露した。
続いて意見交換では「これまで築いてきた連携をどのように活用すれば継続性のある農業が出来るか」「合理性を追求し利益幅を増やすためにはどうにすればよいか」が話し合われた。
「組合間での農産物、一時加工品の売買」「共同販売所の可能性」が議案にあがったが、「生鮮品の組合間での売買は距離の問題がある」「国を跨ぐ組合間では検疫や税制が違う」など課題を洗い出すに留まった。森麗裕ジェネラル・コーディネーターは「もっと発展的な議論が欲しかった」ともらした。
また「アグロ・ビジネス」と題し、NPO「地球の心・日本」の伊藤修(横浜、63)さんが「農業の機械化」と「作るだけじゃなく、売るところまで」と六次産業化への取り組みを推奨、ジャパン・マシナリー株式会社(本社=東京都、1959年設立)壹岐尾悟副社長は種の搾油機をはじめ農機、畜産向け機械の紹介を行った。和歌山県中南米交流協会の迫間修会長も「トウモロコシの日本向け輸出の可能性」について講演を行った。
続いて海外事業部の五十嵐大樹さんが15年度の事業計画を発表。事業全体の来年度予算が今年度に続き更に10%削減され、「品質管理研修」が実施されないことが発表された。昨年度より予算から外された「婦人会の集い」は「交流研修の一部として予算申請をしCKCとして支援したい」と話し、婦人部からは拍手が沸き起こった。
2日目の農場視察ではサンパウロ州内200カ所の取引先を持ち、生産加工販売まで一貫して行なう長谷川グループの生産工場を見学。ディレクターの長谷川マルシオさん(三世)は、「全て自分達でやるのがポリシー」と力説した。一方で水不足の影響について「打撃は大きい」と厳しい表情で語り、水の利用に関して政府から指導が入り、現在使用量の交渉を行っていることを明かした。
最後にキノコの栽培工場を経営する村上グループ(村上エドゥアルド代表、41、三世)を視察した。村上代表は両親から経営を任された当初、上手く行かずデカセギも考えたが、母親に「石の上にも三年」と言われ、留まったという。
今では、敷地面積1万5千平方メートルでしめじを中心に月80トンを生産、従業員150人を雇用している。
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