ブラジル日本商工会議所・機能強化委員会(村田俊典委員長)の通関WG(石嶋勇グループ長=ブラジルヤクルト商工総務取締役)が、貨物自動通関システム「ブラジル・認可エコノミック・オペレータープログラム(OEA)」に関する説明会を、9日午後2時からサンパウロ市の全国工業連合(CNI)事務所で開いた。国税庁の担当官二人が説明を行い、90人が参加した。
アダウトン・ジョゼ・デ・カストロ担当官によると、米国同時多発テロ以降、諸外国で物流安全性の確保と円滑化を両立させる取組みが行われている。2006年にはWCO(世界税関機構)において、貨物の安全管理と法令遵守の体制が整備された事業者を税関が認定し、通関手続の簡素化等を講じる「AEO制度」が採択された。
初めは輸出者が対象だった同制度は、07年以降、輸入者、倉庫業者、通関業者・運送者、製造者へと対象が広げられてきた。ブラジは09年に制度の導入を開始した。
14年には第1次パイロットプラン(試験事業)をスタート、15年末には輸出業務の20%を、16~19年にかけてそれぞれ輸出入業務の22%、30%、40%、50%に同制度が適用される予定。
AEO制度のメリットは、物の安全管理と法令遵守の体制が整備された輸入者については、輸入申告時の納税のための審査・検査が基本的に省略されるほか、貨物の引き取り後に納税申告を行うこと等が可能となる。
輸出者については、貨物を保税地域に搬入することなく、自社の倉庫等で輸出の許可を受けることが可能となるほか、税関による審査・検査にも反映され、輸出貨物の迅速かつ円滑な船積みが可能となる。
通関業者については、輸入者の委託を受けた貨物の引き取り後に納税申告を行うこと、輸出者の委託を受けて保税地域以外の場所にある貨物を輸出する場合にも輸出の許可を受けること等が可能となる。
また、エリアネ・クリスチーナ・ダ・コスタ担当官からは、「ブルーライン」と呼ばれるエクスプレス通関制度改定での通関手続きの簡素化や、迅速化について説明があった。AEO制度の安全パイロットプランとしてエンブラエル社、ヴィラコッポス空港、3M、DHL、CNHが参加することや、52項目に亘る一般情報や安全関連のチェック、認証のチャートや期間、AEO制度の導入による貿易業務全般の円滑化によるメリットなどが紹介された。