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オーリャ!

 サッカーの試合の余り券を友人が譲ってくれると言うので、いそいそと出かけた。
 別の友人が会場まで車で送ってくれるというので乗り込んだが、どうも様子がおかしい。彼は正確な道を知らなかった…。渋滞にはまり込んだまま、刻々と近づく試合開始時間に車中はイライラし始めた。「歩いた方が早かった」と心の中で文句を言いたくなったが、「ままよ」と座席に身を沈めていた。
 遅刻しそうなのに「試合は後半から見るか」などと冗談を言ったり、動かない車の中で記念撮影したり。大らかだなあと思っていたら、同乗の友人がついに痺れを切らし「降りて走るぞ。お前もだ」と堰を切ったようにあわてだした。
 走ること数分。待ち合わせ場所でチケットを譲ってくれる友人も悠然と待っていた。置き去りにしてきた友人(車の所有者)に、礼を言い忘れたのが悔やまれ、なんとも恥ずかしい。(規)