【既報関連】中央政府による反対派抑圧が続くベネズエラで24日、タチラ州サンクリストバルでのニコラス・マドゥーロ大統領への抗議行動中に14歳少年が頭を撃たれて死亡したと25日付伯字紙が報じた。
同国ではカラカス市長アントニオ・レデズマ氏が19日に中央情報局にあたるボリヴァリアーノ秘密部隊に逮捕され、23日は12州で野党Copeiの本部や事務所が秘密部隊や国家警察の強制捜査を受けるなど、不穏な動きが続いている。
そんな中、昨年2月に43人の死者が出た抗議行動の震源地サンクリストバルで、再び死者が出た。犠牲者はタチラ・カトリック大学傍のバス停を常用しているクライフェルト・ロアさんで、至近距離から撃たれ、病院への途上で息絶えた。ロアさんはCopei党員の息子だが、カトリック大学学生の抗議行動には参加していない。
同州警察はホセ・ヴィエウマ・モラ同州知事の質問に、覆面を被った抗議行動参加者が国家警察の警官を襲い、バイクを盗もうとしたため、警官の1人が地面に向けてゴム弾を撃ったらロアさんが倒れたと説明。発砲した警官は逮捕されたが、ロアさんを襲ったのは実弾だった。
同国経済は主要産品の原油価格下落などで危機に瀕しており、インフレ昂進や生活必需品の品不足で現政権への不満がいや増しており、同大統領が野党は国を転覆する計画だとして反体制派抑圧を強化。刑務所では昨年前半だけで150人が死に、拷問実施との報告もある。南米諸国連合(ウナスル)は、与野党の対話を促すための外交使節を送る意向だ。
ジウマ大統領はレデズマ氏逮捕は「内政問題」としたが、ブラジル外務省はその後2度にわたり、同国での緊張の高まりへの懸念を表明。23日は、「合法的な選挙で選ばれた議員や政党との対話回復に努めるよう」強い言葉での呼びかけている。