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全国のストを携帯で指示=「最低料金表が出るまでは」

 23日から始まったトラック運転手のストは25日に開かれた業界代表者と政府との会合後も続き、26日も7州100カ所で道路封鎖などが起きているが、この動きを取りまとめている一人、イヴァル・シュミットさんの武器は携帯電話に掲載されているワッツアップメッセンジャーだ。
 シュミットさんは、昨年12月に友人5人と全国輸送コマンド(CNT)という組織を立ち上げた。CNTはトラック業界の組合や連合といった組織や政党には無関係で、25日の会合で一応の合意が成立した後も、全国のトラック運転手達と連絡を取り合ってストを継続させている。
 自分もトラック運転手だったというシュミットさんは、2002年にリオ・グランデ・ド・ノルテ州モソローで小さな運送会社を設立した。サンタカタリーナ州パウミットス出身で44歳のシュミットさんは、16年前から同州に住み、1996年に結婚。現在は一男一女の父親だ。
 シュミットさんはブラジリアで政府との交渉の行方などを見守りつつ、ワッツアップを使って他の運転手やトラックの動きを把握。自分のトラックはバイア州に停めてあり、「何らかの回答を得るか、死ぬかの二つに一つの理由以外ではブラジリアを離れない」という。彼が言う回答とは、連邦政府が輸送費の最低料金を設定する事だ。
 シュミットさんによれば、今回のストは4月1日から始まる予定だったが、昨年11月にディーゼル油が値上がりした事で前倒しされた。シュミットさんは「最初(11月)の値上げで喉元にナイフを突きつけられた状態になっていたのに、再度の値上げでトラック運行はますます難しくなった」という。
 様々な荷が動くモソローに会社を開設した事もあり、業界で顔が広いシュミットさんは、色々な人とコンタクトを取っていた事もあり、今回のストで中心的な役割を果たす事になった。11月のディーゼル油値上げで不満が高まり、スト前倒しの声が出た時は組織化する時間が欲しいと考えたが、「輸送料金は10年間も据え置かれ、現時点での儲けはゼロ」と考え、前倒しに賛同した。
 シュミットさんが指示していた封鎖地点は24日の時点で128カ所。25日の合意成立で封鎖を解除した所もあるが、26日も100カ所と連絡を取り、様々な指示を出している。
 ミゲル・ロゼット大統領府総務長官が呼びかけた業界代表との会合は25日午後2時からの予定だったが、シュミットさんは退席を求められ、午後7時半~午後9時の会合には参加していない。
 シュミットさんが提唱する最低料金は、積荷の重さではなく、トラックの車軸数×0・70レアル×走行距離(キロ)で計算するもので、25日に総務長官に提示したところ、詳細な説明を求められたため、次の会合が開かれるのを待っているというシュミットさん。最低料金はトラック運転手達が再び暴走しないための提案で、政府にとっても利点が大きいはずだと強調するが、これを機に政治の世界に足を踏み込むつもりはないと明言している。(26日付G1サイトより)