昨年11月以降、サンパウロ市では、雨や風のために1700本以上の倒木が起きているが、これらの木を加工して作ったベンチや彫刻が市民の目を楽しませ、潤いの場を作り出している。
同市の緑と環境局によれば、時速90キロを超える風などで倒れた木は寿命を全うしていないものが多く、再利用が可能だ。とはいえ、短期間に起きた倒木によって生じた大量の木材を収容するための場所も決して充分ではない。
そこで現れたのが、市の呼びかけに応じた芸術家や企業が考案した倒木を加工して作ったベンチや彫刻だ。
市西部のラッパ区殻持ち込まれた倒木2本は、コチアの倉庫で加工後、市中央部に開設されるゾナ・アズル(専用の駐車県を使う路上の駐車場)に設置される予定だ。
プロジェクトを担当するウルバニットのセルジオ・カブラル氏は「(倒木は)瓦礫ではない。寿命を終えたわけでなく、他の事に利用できる」と説明。倒木で作った品物は自然の持ち味を残すために余分なものは使わずに加工する意向である事と、ゾナ・アズルの運営権を得たのと同じ3年間は朽ちる可能性はない事を明らかにした。
12月29日だけで25本の木が倒れたイビラプエラ公園には2010年から、ウゴ・フランサ氏の手になる、倒木を利用した作品16点が置かれている。
同氏の最新のプロジェクトは、昨年の12月に落雷を受けて倒れたユーカリを使ったもので、樹齢50年を越し、高さ30メートル、重さ30トンのユーカリを電動ノコギリで加工したベンチは、ヤスリをかけた後にニスをかけて仕上げた後に、クレーン車2台でピニェイロス区ノラルゴ・ダ・バタタに運ばれた。同氏の作品には、利用者が横になる事も出来るベンチなどもある。
フランサ氏は市役所と協力し、市内全域で生じている倒木を出来るだけ多く、それも公共の場所で再利用する事を考えている。フランサ氏を始めとする芸術家達はプロジェクトに参加する意義を聞かれ、「木質も良い木が埋立地に持ち込まれるのはもったいない。出来るならば、市民のために役立てたい」と説明している。
同市緑と環境局によれば、市立の公園にある木が倒れた時は、ベンチや遊具、トーテムポールなどに加工して各地の公園に配置しており、路上や広場の木はチップにしたり肥料用に使っているという。倒木を再利用するプロジェクトは32の区役所中、28の区役所で採用されているという。(27日付G1サイトなどより)
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