サンパウロ州サンミゲル・アルカンジョ市のコロニア・ピニャール文化体育協会(徳久俊行会長)が先月28日、同文協の入植50周年記念体育館で『第1回夏祭り』を行なった。サンパウロ市からのバス5台を含む約700人が訪れ、新鮮な果物を買い求める来場者で大賑わい。農産品による地域振興を図る初のイベントは成功に終わった。
午前11時から開幕式を行い、餅をついて初開催を祝った。徳久会長は「田舎の小さなお祭りだが心を込めて準備してきた。至らないところもあるが一日楽しんで」と歓迎のあいさつに立った。梨やぶどうといった農産品販売や展示のほか、日本の夏祭りを思わせる金魚すくいや流しそうめんが行なわれた。13年の全伯王者「飛翔太鼓」も舞台に上がり、会場を盛り上げた。
近隣のイタペチニンガ出身であるエジソン・ギリボーニ連邦下議は、「ブラジルの農業は日系人が支えてきた。農村各地が今も盛り上がっているのは日系コミュニティーのおかげ」と、これまでの貢献を称えた。ルイス・カルロス・アランテス副市長や、聖南西文化体育連盟(UCES)の山村敏明会長も登壇し、初開催の祝福と継続を願った。
サンパウロ市からは大型バス5台で250人弱がやって来た。安達幸子さん(70、二世)と長迫美恵子さん(64、同)姉妹は、「家族や友人にお土産を頼まれて。両手にもてるだけの果物を買いました」と笑顔を見せた。ファビオ・ベッチさん(48)も「ここに来るのは初めて。種無しのおいしいピラール・マスカットを買いにきた」と、近郊作物は非日系にも大好評だった。
毎年2月には市の主催で伝統あるぶどう祭りが行なわれてきたが、昨年の第31回を最後に休止となった。開催規模が拡大し、厳しくなった消防法に適用する施設を確保できなかったことが理由という。同地にとって夏祭りは、6月の冬祭り(スープ祭り)、9月のびわ祭り、春頃の盆踊り(日本祭り)に続く一大行事となる。
徳久会長は「施設の整備資金を得るため、自前の活動が必要だと感じていた」と開催理由を明かす。「この収益を防犯・防災対策に活用したい。消防法に合った設備を整えなければ、大きな行事を開催できなくなる」とイベント拡大後に備える意向だ。
【大耳小耳コラム】
夏祭りを初開催したコロニア・ピニャール。6月には「冬祭り」と称して、スープイベントを行っているという。日系行事だからといって、味噌汁やすまし汁が主役ではない。イタリアや中東アラブ系など各国スープを飲み比べる、国際色豊かなお祭りだそうだ。移民大国ブラジルならではの行事だが、同地で開催しているとは意外と知られていないかも。サンパウロ市でも出張開催してもらえたら、大うけするかも。宮城県人会館の屋上とかは、どう?