サンパウロ市ではクラックなどの薬物常習者の溜まり場(クラコランジア)が各地に拡散、路上に小屋を作り集積して道を塞いだり、近隣に治安、衛生上の問題を引き起こす様子が、時を追うごとに市中央部ルス区の〃クラコランジア〃に似てきていると3日付フォーリャ紙が報じている。
サンパウロ市内の薬物常習者の溜まり場は、13年末の時点で30カ所に及んでいた。最大のものは西部ヴィラレオポルジーナ区の中央卸売り市場(CEAGESP)裏にある。
近年は掘っ立て小屋が建ち並び、ルス区のファヴェーラを思い起こさせる。同地域を歩くと、薬物密売人にひっきりなしに声を掛けられる。車で通っていても同じだ。事務所を構える会社は治安の悪化で、警備を強化せざるを得ないでいる。
南部のジャバクアラ区ジャバクアラ陸橋下や近隣の広場でも最近、小屋を建てて滞留する中毒患者が増えている。「状況は悪くなるばかり。お客さんは中毒者が近づいてくるから怖がるし、この地区での商売は上がったりよ」と美容院を営むマルタ・デ・クーニャさん(51)は嘆く。
同じく南部のブルックリン区でも、あばら屋や腐臭、薬物中毒者が増えており、住民が不安を募らせている。「市や州は常習者の保護や治療施設に送るといった約束を果たしていない。彼らはなにをしでかすか分からなくて恐ろしい」と弁護士のクレジマ・ゲーラさん(60)は述べた。