3日、連邦下院はエレオノーラ・マニクッチ女性政策局長臨席の下、殺人事件の中でも「女性殺人」を一つの分類として分け、量刑を強化する法案を採択したと4日付伯字各紙が報じている。
これにより、女性ゆえのハンディキャップにつけこんだ殺人は、より一層の重罪と見なされる。今日ブラジルでは1日10件の「女性殺人」が発生していると見られており、法案は大統領の裁可を待つのみとなっている。
家庭内暴力または女性蔑視に基づく暴力によって殺人を犯した場合の量刑は、現行の6年以上20年以下の懲役から12年以上30年以下の懲役に変更される。
同法案では、妊娠中や出産直後の女性や、14歳以下と60歳以上の女性、障害者を持った女性の殺害、ならびに、子供や孫または親などの面前での殺害はより重罪とみなし、その刑期を3分の1から半分加算することになっている。
議会では元人権局長のマリア・ド・ロザリオ下議(労働者党・PT・南大河州)が、「これは暴力や虐待によって女性を死に至らしめた人物をより厳しく罰するものだ」と法案成立を祝った。
応用経済調査院(Ipea)では、2001年~2011年の10年間で5万件の「女性殺人」が起きたと見ている。
2010年の女性10万人あたりの殺人による死者は4・6人で、1980年の2・3人より大幅に増加。ブラジルは世界で7番目に女性が殺される割合の高い国となった。
ジェツリオ・ヴァルガス財団法学校のマルタ・マシャド教授は「データを見ると、『女性殺人』では行使された暴力の度合いが他の殺人と比べて酷いことなどが分かっている」として、「女性殺人」を区別し量刑を重くすることの意義を強調。同種の事件は、伝統的に男性優位の判決を出してきた1人の判事による裁判ではなく、陪審員裁判で裁くべきだとした。
マイラ・ザパテル・サンパウロ大学(USP)刑法学教授は「量刑を重くすることは問題解決や犯行予防には繋がらない。裁判官も女性差別とは何なのかをより深く知らなくてはいけない。女性への暴力は、啓発活動など、社会全体の課題として取り組まなくてはいけない」と述べた。