ラテンアメリカ最大のワインのインターネット通販サイトWine.com.brが11日、コーヒー市場への参入を発表した。同社はコーヒーマシンとコーヒーカプセルを販売しているスイスのMocoffee社を2600万ドルで買収した。
Mocoffee社は、カプセルをマシンにセットしてコーヒーを淹れるシステムを発明したエリック・ファブレ氏によって設立され、Nespresso社のカプセルとマシンを世界17カ国で販売している。
エスピリト・サント州(ES州)都ヴィトーリア都市圏のセーラ市に本拠を構えるWine.com.brは、2014年に20億レアルの利益を計上しているサイトだ。
同社はこの買収によって、世界最大の生産、輸出国であるブラジルのコーヒーとスイスの技術を融合し、世界的なコーヒーのメーカーをつくる意向だ。「ビーチサンダル業界のアバイアナスのような存在に、エスプレッソ業界でなりたい」と同社社長で創業者の1人でもあるロジェリオ・サルメ氏は語った。
同氏は「Wine.com.brがワインで成し遂げたように、エスプレッソをブラジルの一般家庭に広く普及させたい」と続けた。
Mocoffee銘柄のエスプレッソ入りのカプセルと専用の機械の販売は年内に始める意向で、当面は輸入に頼るが、将来的にはES州に製造工場を作る予定だという。
同社では、Mocoffee銘柄のカプセルや機械も自社サイトのみで行う予定だ。この方法は経済的だが、飲料ビジネス・コンサルタントのアダルベルト・ビビアーニ氏は「これまで一度も見たことのない物を消費者に買ってもらうためには、コンセプト・ショップや試飲でこの製品のよいところをPRしていかないと」と指摘し、この方法への懸念も語っている。
カプセルをマシンにセットして抽出するタイプの製品は、ブラジルでも世界でも、急速に売り上げが伸びている。13年から14年にかけてのブラジルでの販売量は45%、販売額では55%の伸びを記録したが、ブラジルではカプセルを利用してコーヒーを楽しむ家庭の割合は2%にも満たない(フランスでは35%)。だが、このことは市場拡大の可能性をあらわしてもいる。
ブラジル国内のカプセルコーヒー市場でシェアを競っているのはDolce Gusto社とNespresso社、Tres Coracoes社の3社で、Dolce Gusto社とTres Coracoes社はミナス州に自前のカプセル製造工場建設を発表したばかりだ。
Wine.com.brはコーヒー業界の専門知識に欠けてはいるが、Mocoffee社の持つブランド力と、インターネット販売に関するノウハウにブラジル市場で成功する望みを賭けている。(11日付エスタード紙より)