本紙がレジスト地方入植百周年を記念して2013年から14年にかけて127回連載した記事が、日本で『一粒の米もし死なずば』(無明舎、2014年、50レアル)として昨年11月に刊行され、ようやく当地にも届いた。
ブラジルといえば誰もが「コーヒー」と連想する世界最大のコーヒー豆生産国において、日本人が戦後〝紅茶の都〟レジストロを築いたことは隠された歴史だ。日露戦争に勝利した時の桂太郎総理大臣、大浦兼武内務大臣、高橋是清日銀総裁、〝日本の資本主義の父〟渋沢栄一ら錚々たる面々が、理想に燃えてブラジル移植民に日本の将来の一端を賭けようとした場所の百年の歴史だ。
この本は、すでに日本では発売されており、書評もあちこちで掲載されている。そこに述べられた代表的なコメントを幾つか紹介する。
《〝面白い〟というと語弊があるかもしれないが、出来の悪い推理小説よりもはるかに刺激的で、歴史上のナゾを解き明かしながら連鎖的に叙述が繋がっている歴史物語となっている》『ブラジル特報』2015年1月号。
《外国への関心が薄れて、閉鎖的にさえ感じる現在の日本で、100年も前に日本の外に目を向けて奔走した人たちの歴史を綴ったこの1冊は、特に教育現場でも活用して欲しいと思えるものだ》『ラティーナ』2015年1月号。
《レジストロ地方に入植した日本人とその子孫たちの生き方を、時代と重ねて丹念に追った貴重な労作だ》中日新聞2015年1月6日付。
《ブラジル・南米研究者、移住者の関係者が移住の全貌を見る上で、特に、資料文献を探すのには最適の労作だ》日本農業新聞2015年1月25日付。
《波乱万丈の苦闘の歴史とその百年後の到達点までの気骨ある明治の日本人南米移民史の舞台裏に迫る労作》『ラテンアメリカ時報』2014/15年冬号。
ダイナミックなブラジルの歴史の中で、翻弄されながらも基盤を築いてきた日本移民の姿を知る絶好の一冊。本紙編集部はもちろん太陽堂、竹内書店、高野書店などでも扱っている。