ブラジル日本文化福祉協会(木多喜八郎会長)が22日、サンパウロ市の文協ビルで『第9回文化祭り』を行なった。舞台上では歌謡曲、民謡、太鼓が披露され、展示室で各種のワークショップが開催された。同ビル内では華道、工芸品展も併催されたこともあり、この日本文化の祭典には非日系も含め、終日で1500人(文協発表)が来場した。
開会式で木多会長が歓迎のあいさつに立ち、「文協創立60年、日伯外交樹立120年も記念して開催される。若者の運営協力もあって実現でき感謝」と喜んだ。祭典責任者の呉屋春美副会長は「合同花展、手芸品展も非常に美しいもの。素晴らしい日本文化を楽しんで」呼びかけた。
在聖総領事館の佐野浩明首席領事は「日本政府はサンパウロ市にジャパンハウス設立を決めた。日系社会への期待も高くさらなる活動を期待」と話した。
大講堂ではコロニア歌手によるカラオケ、花柳流金龍会、池芝緑舞踊教室、丹下セツ子太鼓道場などの演目が並んだ。
多目的ホールでは、和食普及委員長の小池信シェフが特別レストランを開き、貴賓室では茶道の実演が行われた。その他、陶器の展示・販売や占い、バザーなどビル全体で催しが用意された。
サンパウロ州サントアンドレー在住のヴィラ・タイラさん(57、三世)は押し花を体験し、「これまで見たこともなかった。初めての体験だがとても美しく興味深い」と自身の作品をしみじみ眺めた。
講師歴12年の巽ミリアンさん(57、二世)は「自然の花を使った押し花だから、彩り豊かでブラジル人にも好評。真空にして湿気をとれば、鮮やかな色合いもずっと保存される」と話した。
サンパウロ絵手紙友の会が初めて体験会を実施。15人ほどが指導に当たり、講師は「初めて触れる人も多く、こういった場を提供できるのは貴重」と喜んでいた。
美術教師のマリレネ・ペレイラ・ペレスさん(63)は赤ピーマンを描き、「筆の持ち方が難しく、持ち続けるのが大変」と苦戦した様子。押し花、切り紙なども満喫したようで「去年も来たがゆっくりできなかった。折り紙は子どもの教育にも良いだろう」と感想を語った。
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移民105周年の13年には『日本の美』と題し、いけ花協会、茶道裏千家、邦楽協会、文協が共催した。今回も似た趣向で、大講堂前のサロンと貴賓室で、華道13流派による合同花展が行なわれ、約80作が会場を彩った。いけ花協会のエリソン・トンプソン・デ・リマ会長は「文化祭りとの併催は初めて。他の日本文化を目的に来場した人でも、生け花にも関心を持ってもらえる良い試みだ」と喜んだ。
9階では国際交流基金の手芸展「手仕事のかたち―伝統と手わざ」もあり、漆器、寄木細工、織物など日本の伝統工芸品が展示された。職員らは「合同開催とあって今週末は特に盛況。今日が最終日だったから大勢の来場者がきて良かった」と話した。世界各国を巡回する同展は、4月から米国シアトルで開催する。
【大耳小耳関連コラム】
文化祭りの書道教室で講師をした横山嘉孝さん(34、四世)は、松柏学園で9歳から始め、10年ほど前からボランティアで指導にあたる。「筆の持ち方、墨のつけ方、正しい姿勢といった基礎から教える」というが、ブラジル人の関心事は別のところにあるよう。「タトゥー(入れ墨)にしたいので漢字を教えてという非日系が多い」と苦笑い。入れ墨とタトゥーは別物とはいえ、入れ墨といえばヤクザモノというイメージが強い日本人からすると、ブラジルで漢字のそれが増えることは素直に喜べないものがあるかも?!