連邦政府の情報機関がイスラム過激派組織のISILがブラジルでも若者の勧誘を試みているという情報をつかみ、16年のリオ五輪でテロが起こらないかを恐れていると、22日付エスタード紙が報じている。
同紙によると、大統領府は複数の機関から「ブラジルにおけるISILへの懸念」に関する文書を受け取っている。各機関は互いに情報交換をしており、リオ五輪の準備の一環としての話し合いは官房長官がまとめることになっている。先週の話し合いには法務省や大統領護衛局(GSI)、連邦警察、ブラジル情報庁(Abin)の関係者も参加しており、2月には欧州の警察関係者も来伯して情報交換を行った。
情報機関の調査によると、ISILは現在、欧州に集中しているテロ部隊員の勧誘を南米まで広げようとしている。ISILは、インターネット上の聖戦に関するフォーラムや社会ネットワークサービスを通じて獲得した若者を、昨年10月にカナダで起きた国会議事堂銃乱射事件の犯人のように、個人的に活動できる「ISILの狼戦士」に育てる意向のようだ。この形だと国際テロリストとしてリスト入りすることがないため、テロを予想しにくくなる。
ブラジルでは現在、10数人のイスラム教改宗者が、母国での紛争から逃れてブラジルに移り住んでいるシリア人に加入を呼びかけていることが確認されている。彼らは国外に出るつもりはないようだが、連邦警察やAbinは、ブラジルにはテロ防止法が存在しないため、ネット上であやしい動きが確認されてもそれを取り締まることができないことを懸念している。