世界の3大格付け会社のひとつ、スタンダード&プアーズが23日、ブラジルの格付を従来通りに据え置くことに決め、ブラジル国債は信用できる位置に留まった。これは、ジウマ第2期政権の経済スタッフによる財政調整案が議会を通過しそうだとの判断によるものだ。24日付伯字紙が報じている。
スタンド&プアーズはブラジル国債の格付けを従来と同じBBB-(マイナス)に留めた。これは投資を推薦できるレベルとしては最低ランクではあるが、ムーディーズが2月に、現在汚職問題で揺れているペトロブラスの信用格付を投資を勧められないレベルに降格した後だけに、強く懸念されていた。
もし、ブラジル国債に対するS&Pの格付が投資不信用のレベルに落ちていたら、現在共に「投資を信用できる」のレベルの下から2番目に位置するムーディーズやフィッチの格付けも落ちかねない。そうなると国際市場で融資を得ることが困難になり、返済利息もより高くなるため、経済活動がさらに悪化する可能性が強まる。
今回、S&Pがこの判断に踏み切ったのは、ジウマ第2期政権が、ジョアキン・レヴィ財務相らがおし進める税収増加と支出の切り詰めを軸とする財政調整(財政の適正化)を支持し、議会の同意も獲得できることと、それによってこれまでに損なわれた経済政策への信頼性を回復できることを期待してのことだ。
S&Pは15年のブラジルの国内総生産(GDP)の伸びはマイナス1%と見ているが、16年以下は着実に成長を続けて行くと期待している。
今回のS&Pの判断を受け、連邦政府は、「GDPの1・2%」に設定した15年の基礎的収支の黒字目標達成が、現状のランクを守るための必要条件だとの思いを強めている。
S&Pの発表は、経済の停滞や政府と議会の間の緊張などで揺れていた市場にも楽観的な空気をもたらし、同日のドルは3・05%落ちて1ドル=3・1450レアルとなった。
一方、ジウマ大統領は23日、今回の財政調整案のひとつでもある、遺族年金と失業保険の受取資格を厳格化した暫定令(MP)664号と665号に関し、ルーラ前大統領と労働者党(PT)に、MPによる恩恵の削減幅を減らす交渉に応じる意向があると伝えた。現状のままなら政府は年間180億レアルの確保が可能となるが、PTは労働者の権利を狭め、社会政策費を減らすことは「党の方針に反する」と否定的で、他党からの連立解消も恐れていた。
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