樹海

 携帯などのカメラで自撮りをすることを「セルフィー」という。写真撮影は昔からあるごく普通の行為だが、自宅で、旅行先で、街中で、風景やイベントを楽しむよりも自撮りに熱中する若者が多いので、こんな専門用語が出来てしまった▼最近は、カメラを取り付けられる自撮り専用の支え棒まで登場した。中には自撮り熱が高じて注意散漫となり、不慮の事故に遭う人もいるというくらい、一部の青年にとってネット上での自己アピールは欠かせない▼なぜそこまで夢中になるのかといえば、やはり注目を浴びれば嬉しいし、支持されれば安心するのが人間だからだろう。自分の人生が一層価値を帯び、一種のアイドル気分にも浸ることができる。それで、実際にアイドル化してしまった青年もいる▼7年前にブログ「Depois dos Quinze」を始めた20歳のブルーナ・ヴィエイラさんは、本の出版からメディア露出までをこなし、月に最高6万レアルを稼ぎ出す腕利きだ。ブログは自身の日常、恋愛、悩みを綴った日記のようなものだが、大衆の共感を得、160万人もの〃信奉者〃ができた▼私生活を赤裸々にファンと共有し、月収最高6万レを稼ぐクリスチャン・フィゲレード(20)も、クルトゥーラ書店で初の出版記念会を開いた所、千人もが詰めかける大騒ぎになったとか▼投資はパソコンとインターネットと、私生活をさらけ出す恥を捨てること。それで当たれば一攫千金。どこにでもいる一青年が一躍アイドルになれるわけなので、単なる「自己愛熱」と一笑に付すことはできない。セルフィー含め、自己プロデュースに心奪われる青年が多いわけだ。(阿)