ブラジル全体で工業後退が拡大している。ブラジル地理統計院(IBGE)の調査によると、今年2月の工業生産を昨年2月と比べると、805品目のうち70・2%の品目の生産が減少し、13年の調査開始以来、最悪の結果となったと2日付フォーリャ紙が報じた。
部門別では26部門中24部門で生産減少が見られた。総生産高は昨年同月比9・1%減少し、世界金融危機只中の2009年7月以来の悪い数値となった。直近12カ月間の累積では4・5%減少している。
今年の2月はカーニバルとの兼ね合いで、昨年2月より営業日が2日少なかったことも生産減少の要因となった。
IBGE産業調査部長のアンドレ・マセド氏は「経済活動の低下は明らかで、昨年9月から顕著になった」と語った。
工業界は在庫拡大、貸し渋り、高金利、インフレと失業率上昇による消費減退に苦しんでいる。
ブラデスコは「建設、石油、ガスなどの重要な部門での生産調整は今年の産業界全体の生産活動に悪影響を及ぼす」として、今年の経済成長は0
・7%のマイナスとなるとの予想を立てている。
また、ラヴァ・ジャット作戦による影響も大きく、今年の工業生産は2・5%から3%下落すると見ている。
経済コンサルタント会社テンデンシアス・コンスルトリアのラファエル・バッシオッチ分析員は、工業界の危機はますます多くの部門や品目に拡がると見ている。
2月の生産高の減少が特に激しかったのは、自動車とパソコンなどの情報機器で、共に33・9%の減少を記録した。
ドル高レアル安も対外輸出拡大や輸入縮小のために役立たなかったと、IBGEマセド産業調査部長は語った。今のレアル安効果が、輸出入業者に実感されるのには時間がかかる。輸出入業者は為替相場が新しい水準で安定し、新しい取引契約を結ぶことが出来るようになるのを待っている。