2004年に発表された法務省のデータによると、ブラジルの刑務所の収容者数は、1992年から2013年の20年間で403・5%増えたという。
この期間中の人口の伸びは36%だから、刑務所に入っている人の数がいかに急速に増えているかは一目瞭然。イギリスのエセックス大学がまとめたデータによると、ブラジルの人口100万人に対する刑務所収容者数は300人で、世界平均の144人の倍以上だ。
法務省の全国刑務所管理局(Depen)担当者によると、刑務所の収容者数が増えた最大の原因は、警察などの治安維持機関が犯罪者を検挙するための努力を強化した事だという。ブラジル国内の刑務所の収容者数は約57万4千人で、米国の220万人、中国の160万人、ロシアの74万人に次ぎ、世界第4位となっている。
刑務所内の環境は劣悪で、収監者に対して人道的な扱いがされていない例も多い。最も多い苦情は、超過密状態ゆえの場所の不足や衛生状態の悪さで、所内で病気が起きる例も多い。刑務所職員達の訓練がなされておらず、汚職がはびこっているという指摘も多い。
刑務所の管理者の最大の頭痛の種は暴力で、所内での殺人事件や暴動といった問題が後を絶たない州や刑務所もある。この事は刑務所職員からの「苦労が多いのに、働きが正しく評価されていない」という苦情にも繋がっており、他の分野の職員にはない特別な配慮が必要とされている。
ちなみに、人口10万人当たりの刑務所収容者数は、日本54人、ドイツ80人、フランス101人、中国121人、イギリス149人、トルコ170人、メキシコ209人、イスラエル236人、イラン284人、ブラジル300人、ロシア486人、米国716人などとなっている。(2014年3月25日付Veja誌サイトより)