間接雇用法案が下院通過=労組がデモを起こした直後に=連邦政府はまた議会に敗退=「最高裁に訴える」とPT
9日夜、労働組合からの強い反対運動のある中、下院が派遣契約に関する間接雇用法案を通過させた。だが、同法案は労組や労働者党(PT)の強い反感を招くことが避けられない。9日付伯字紙が報じている。
同法案は、銀行の警備員や清掃夫など、企業本来の目的以外の活動(アチヴィダーデ・メイオ)のみに認められていた間接雇用(派遣契約)を、生産ラインでの自動車組立てなど、本来の目的である活動(アチヴィダーデ・フィン)に携わる労働者の採用にも適用することを認める。
また、派遣社員に関する税金や納付金は従来は派遣会社が納めていたが、同法案では派遣先の会社に派遣社員分の税金などを納める義務が生じる。さらに、派遣社員は派遣会社の労働組合にしか加入できなかったが、アチヴィダーデ・フィンに携わる派遣社員は派遣先の会社の従業員と同じ労組に入ることになる。
中央労組(CUT)などの労働組合はこの法案に猛反発し、7日にはブラジリアの議会前広場などで同法案に反対を唱えるデモも行っていた。
だが、8日夜の下院では、324対137で同法案が可決された。同法案は修正条項を加えた上で来週、再投票となり、そこでも承認されれば上院での審議となる。
この法案の報告官を務めた、野党のアルトゥール・マイア下院議員(連帯・SD)は、同法案は経済活動を活性化し、これまで認められてなかった法的な保障を企業に与えると主張している。
この法案承認は連邦政府がまたしても議会に敗れたことを意味するが、今回承認された法案には連邦政府が事前に申し入れた変更の一部が盛り込まれている。政府側は間接雇用が増えれば税収が減ると懸念していたが、派遣先の企業に納税義務を課すことで懸念の一部は解消された。だが、勤続期間補償基金(FGTS)の納付はマイア下議によって拒絶され、派遣会社の責任となった。
大統領総務室長のミゲル・ロゼット氏は「全ての労働者が派遣社員化され、労働条件が悪化する可能性がある」として同法案を批判したが、エドゥアルド・クーニャ下院議長は、法案審議中、ジョアキン・レヴィ財務相から電話が入ったが、(事前協議を踏まえた形で審議と聞き)「同法案に反対する様子は見せなかった」と語っている。
だが、労組はこの法案を、遺族年金や失業保険の受給資格を厳しくした連邦政府の財政調整案より労働者の権利を改悪するととらえている。労働者党(PT)も今回の下院での投票を問題視し、連邦最高裁に訴えて無効化するよう動くという。