先日、サンパウロ市東洋街の下町グリセリオ地区で引ったくりに遭った日系人がいた。車で移動中に少し窓を開けたら、瞬く間に手を突っ込まれ鞄を奪われたとか。「危険だと自覚はしていたが…」と嘆いても遅かった。
その話を聞いた後、同地区のフェイラに足を運んだ。突然、後ろから肩をグッとつかまれ、不吉な予感がして、とっさに距離をとった。でも「ポケットから20レ札が落ちたよ」とブラジル人男性から親切に教えられ、ホッとした。
その脇にはエビを買う中国人がおり、量り売りのため「頭を取るな」と店員に注意されても人目を盗んでちぎり、商品棚の奥まで押し入って自分の目で重量を確認するほどだった。彼らが落ちた現金を見つけたら、教えてくれただろうか。
今回は恵まれた出会いだったが、同じ場所で強盗に遭うこともある。常に紙一重で生活しているのだと実感した。(祐)