サンタカタリーナ州ブルスケで、牛のもも肉(ピカーニャ)を盗んだ泥棒と盗まれたスーパーの主任が共に逮捕されるという珍事が起きた。
事件が起きたのは4日(土)で、当直だったダヴィ・ケイロス・デ・ソウザ警部は、現行犯として連行されてきた泥棒と店の主任の双方から事情聴取を行った。
泥棒は前科があり、警戒していたスーパーの警備員が、ピカーニャを隠し持って店から出ようとしたところで取り押さえ、通報した上、14切れの肉と共に警察に突き出した。
ところが、スーパーの主任からの事情聴取を終えたケイロス警部が泥棒を問い詰めたところ、泥棒は犯行を認めたものの、「盗んだのは4切れだけだ」と言う。
不審に思った警部が主任に確認したところ、今度は主任が、「たった4キロの肉を盗んだといって泥棒を突き出しても、警察は対応してくれないと思い、自分で倉庫から肉を持ち出して、14切れ盗まれた事にしようとした」と自白した。
泥棒が現行犯逮捕された事は言うまでもないが、15年前に警官になろうとした理由を思い起こしたケイロス警部は、「あなたも犯罪を犯したんですよ」と説明した上でスーパーの主任も逮捕した。
泥棒は788レアルの保釈金が払えず、刑務所行きとなったが、主任は1500レアルの保釈金を払って自宅に帰った。
このエピソードは社会ネットワークサービスや司法関連のサイトでも取り上げられ、ホットな話題となったが、ケイロス警部が被害者を更に苦しめ、泥棒の罪を軽減したと批判する書き込みも登場。サンパウロ州の警部達からは、「主任の嘘は事件の本質を変えるものではなく、自分なら彼は逮捕しない」という声も聞こえるが、ケイロス警部は「警官は法律に従って行動すべきであり、仕返しをと考える人を満足させるためだけに任務についているのではない」と釈明。サンパウロ州警部組合のジョルジ・メロン警部は「ケイロス警部は法律が定めるところに従っただけだ。我々の仕事は、時によっては一般社会や警察さえ不愉快にさせる事があるんだよ」と語っている。(9日付フォーリャ紙より)
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